健保ニュース
健保ニュース 2025年1月中旬号
2025~2027年度を期間
政府が改革実行プログラム
社会保障 薬剤自己負担見直し等検討
政府の経済財政諮問会議(議長・石破茂首相)は12月26日、2025~2027年度の3か年を期間とする「経済・財政新生計画 改革実行プログラム2024」を決定した。
「改革実行プログラム」は、「骨太方針2024」に掲げられた「経済・財政新生計画」において「本年末までにEBPM(証拠にもとづく政策立案)の強化策および経済・財政一体改革の工程を具体化するとともに、毎年改革の進捗管理・点検・評価を実施する」と明記されたことを受け、今後3年間を中心に、「何を」「いつまでに」「どのように」進めるか、改革のロードマップを具体化したもの。
社会保障分野では、社会保障を持続可能なものとするため、応能負担の徹底を通じて現役世代・高齢世代などの給付・負担構造を見直し、国民の安心につながる効率的で強靱な医療・介護の提供体制を実現するなど、全世代型社会保障制度の構築を進める。
「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」等に掲げられた改革項目のスケジュールを明確化し、実現できる項目から着実に実施するとして、主に、①勤労者皆保険の実現に向けた取組等の働き方に中立的な制度の構築②生産性の向上、効率的なサービス提供、質の向上③能力に応じた全世代の支え合い④医薬品等のイノベーションの推進、安定供給確保、薬剤保険給付の在り方の見直し等─にかかる工程を設定した。
このうち、②は、新たな地域医療構想について、2024年度までの検討結果にもとづき制度改正を行い、2026年度に都道府県が構想を策定、2027年度から取り組みを実施。2024年末に策定した「医師偏在対策の総合的な対策のパッケージ」にもとづく制度改正を行う。また、多剤重複投薬等の適正化については、2024年度診療報酬改定の影響の検証等を踏まえ、2026年度診療報酬改定で必要な見直しを検討するとした。
③は、介護保険における「一定以上所得」(2割負担)の判断基準の見直しを2025年度まで、多床室の室料負担のさらなる見直しを2027年度の前までに結論を得て、結果にもとづき必要な制度改正等を実施する。
医療・介護における「現役並み所得」(3割負担)の判断基準の見直しは、2028年度までに検討を行うと明記。
高額療養費制度の自己負担限度額の見直しや所得区分の細分化等は、2025年度以降段階的に実施するとした。
④は、2024年度診療報酬改定の施行状況の検証を行うとともに、薬剤自己負担の見直し項目について2028年度までに必要な対応を検討すると明記。
医薬品や医療技術の保険収載の判断等に当たり、費用対効果や財政影響などの経済性評価を活用することや保険対象外の医薬品等にかかる保険外併用療養を柔軟に活用・拡大することについて、2024年度診療報酬改定での対応も踏まえ、2026年度診療報酬改定で必要な見直しを検討するとした。
また、同会議は同日、10分野の重要政策・計画を対象に政策体系や検証事項などを定めた「EBPMアクションプラン2024」を決定した。
EBPMの取組成果や政策効果は翌年度以降の予算編成過程で反映する。
社会保障分野では、効率的な医療・介護サービスの提供体制の構築(地域医療構想、医師の偏在是正等)等を重要政策・計画として掲げた。
「アクションプラン」および「改革実行プログラム」は「財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靭な経済・財政を作るための具体的な指針」として位置づける。指針にもとづく改革を着実に進め、限られたリソースから高い政策効果を生み出し、客観的なデータにもとづくワイズスペンディングの徹底につなげていくとした。
石破首相は、「新たな枠組みを十分活用し、経済・財政一体改革に政府一丸となって取り組んでいく」との決意を表明した。