健保ニュース
健保ニュース 2025年新年号
新地域医療構想・医師偏在対策等
医療部会 提供体制改革・意見を了承
社会保障審議会医療部会(遠藤久夫部会長)は12月18日、新たな地域医療構想や医師偏在対策などを盛り込んだ「2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革に関する意見」を大筋で了承した。
これを受け厚生労働省は、次期通常国会への改正関連法案の提出を視野に法案の作成作業に着手する。
「2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革に関する意見」は、85歳以上の高齢者の増加や人口減少がさらに進む2040年以降、▽すべての地域・世代の患者が適切な医療・介護を受け、必要に応じて入院し、日常生活に戻ることができる▽医療従事者の持続可能な働き方を確保する─ための医療提供体制の整備を基本理念とする。
具体的な改革として、①新たな地域医療構想②医師偏在対策③医療DXの推進④美容医療の適切な実施⑤オンライン診療─を位置づけた。
このうち、①は、入院医療だけではなく、外来・在宅医療、介護との連携、人材確保等を含めた地域の医療提供体制全体の課題解決を図る新たな地域医療構想を策定する。
これまで入院医療の病床機能の転換や再編等の協議を行ってきた地域医療構想調整会議の役割を重視。新たな地域医療構想の策定・推進に当たっては、議題に応じて、医療関係者、介護関係者、保険者、都道府県、市町村等の必要な関係者が参画し、医療機関の経営状況等の地域の実情も踏まえながら、実効性のある協議を実施することが重要と明記した。
また、外来医療・在宅医療についても、将来のあるべき医療提供体制に向け、関係者の協議を実施する。
②は、医師確保計画にもとづき、都道府県が「医師偏在是正プラン(仮称)」を令和8年度に策定。「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」、支援対象医療機関、必要な医師数、医師偏在是正への取り組みを定め、策定に当たっては、地域医療対策協議会・保険者協議会で協議するとした。
合わせて、(1)経済的インセンティブ(2)地域の医療機関の支え合いの仕組み(3)医師養成過程での取り組み─などを組み合わせ、総合的な対策を進める。
(1)は、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」における派遣医師・従事医師への手当増額支援に対し、保険者から広く負担を求め、給付費の中で一体的に捉えるとする一方、「保険給付と関連の乏しい使途に保険料を充当することは著しく妥当性を欠く」との意見を併記した。
③は、必要な電子カルテ情報を医療機関・薬局等で共有する電子カルテ情報共有サービスを7年度中に本格稼働する。
共有サービスは、患者(被保険者)、医療機関、保険者、国等に一定のメリットがもたらされることを踏まえ、▽国はシステム開発等サービスの立ち上げ▽医療機関は電子カルテシステムの標準化等の改修▽保険者等は、制度として一定程度確立した後に、システム等の運用─にかかる費用を負担する。
保険者の費用負担は、「共有サービスが一定程度普及し保険者に確実にメリットが生じるようになってからにすべき」との意見も踏まえ、速やかな普及に向けて国はあらゆる方策を講じるべきとした。