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健保ニュース 2025年新年号

電カル情報共有サービスの費用
国、医療機関、保険者で負担
佐野会長代理 基盤整備期間は国が負担を

社会保障審議会医療保険部会は12月12日、医療DXの推進等をテーマに議論し、電子カルテ情報共有サービスの費用負担の方向性について概ね了承した。

電子カルテ情報共有サービスは、▽診療情報提供書送付▽健診結果報告書閲覧▽6情報閲覧▽患者サマリー閲覧─にかかるサービスを柱とするが、医療機関の電子カルテシステムの保守費用や3文書6情報の提供にかかる費用、社会保険診療報酬支払基金のシステムにかかる運用費用が発生する。

このため、厚生労働省は、この日の会合に、電子カルテ情報共有サービスの費用負担の在り方を提案した。

電子カルテ情報共有サービスは、少子高齢化・人口減少社会において、医療機関等間での電子的な情報共有により、安全で質の高い医療を効率的に提供していくための基盤と指摘。患者(被保険者)、医療機関、保険者、国等にそれぞれ一定のメリットがもたらされるとした。

そのうえで、国、医療機関、保険者のそれぞれが電子カルテ情報共有サービス全体に要する費用を一定程度、負担する対応を提案。

来年の次期通常国会への医療DX関連法案の提出を視野に入れ、電子カルテ情報共有サービスの運用費用の負担者や負担方法等について法律に規定する。

保険者の費用負担については、被保険者がより安全で質が高い医療を効率的に受けられるようにし、効果的・効率的な医療制度を実現するため、制度として一定程度確立した後に電子カルテ情報共有サービスにかかるシステム・DB等の運用費用を負担すると提案。システム・DB等の運用費用は年18億円程度を見込み、医療保険者等の加入者1人当たりで月1.25円程度となる。

一方、国は医療機関の電子カルテシステムの標準化対応の回収への財政補助など、サービスの立ち上げに要する費用を負担。医療機関は、システムの必要な運用保守を行いながら、3文書6情報を登録するための費用などを負担する。

厚労省は、電子カルテ情報共有サービスが一定程度普及するまでには一定期間を要することも踏まえ、電子カルテ情報共有サービスが速やかに普及するよう、あらゆる方策を講じる意向を示した。

このほか、厚労省は、11月7日の同部会に提案した支払基金の組織体制の見直しについて、現行の理事会に代え新たに設置する「運営会議(仮称)」の人員体制を提示。

組織体制の改組後は、▽学識経験者1名、被保険者1名、地方自治体1名▽保険者(地域保険代表含む)3名▽診療担当者3名─の合計9名(非役員)で構成することとした。

電子カルテ情報共有サービスの費用負担の在り方について、健保連の佐野雅宏会長代理は、「医療DXについては、これまでもオンライン資格確認や電子処方箋など様々な施策が実施されてきたが、運用開始から普及までに長い期間を要している」と指摘。普及率が低いにも関わらず、保険者に費用負担が生じている現状を問題視し、「電子カルテ情報共有サービスの基盤整備期間は国が費用面の責任を持つべき」との考えを示した。

電子カルテ情報共有サービスが一定程度、普及して保険者のメリットを実感できるまでの間は保険者に費用負担を求めるべきでないと牽制したほか、国が考える普及目標と実際の普及状況に乖離が生じた場合、国が引き続き費用を負担するよう要望した。

厚労省は、「被保険者等の関係者がメリットを実感できるようになるには、少なくとも5割程度の普及率が目安となる」との認識を示した。

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