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健保ニュース 2025年新年号

3大臣が7年度薬価改定を合意
新薬創出加算の累積額は控除へ
長期収載品 乖離率の0.5倍超を対象

林芳正内閣官房長官、加藤勝信財務相および福岡資麿厚生労働相の3大臣は12月20日、令和6年薬価調査の結果や中央社会保険医療協議会の議論を踏まえ、7年度薬価改定の内容について合意した。

政府が6月21日に閣議決定した「骨太方針2024」で、「2025年度薬価改定の在り方について検討する」と明記されたことにもとづき、平均乖離率が縮小するなど、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」(平成28年12月20日内閣官房長官、経済財政政策担当大臣、財務大臣、厚生労働大臣)当時から状況が大きく変化していることや、現役世代等の保険料負担が上昇していることを踏まえ、診療報酬改定がない年の3年度・5年度薬価改定の慣例に固執することなく、必要な対応を行う方針を示した。

7年度薬価改定は、国民負担軽減の観点はもとより、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給確保の要請にきめ細かく対応する観点から、品目ごとの性格に応じて対象範囲を設定。

6年薬価調査の平均乖離率5.2%を基準として、新薬創出等加算対象品目と後発医薬品は平均乖離率の1.0倍(乖離率5.2%)、新薬創出等加算対象品目以外の新薬は同0.75倍(同3.9%)、長期収載品は同0.5倍(同2.6%)、その他医薬品は同1.0倍(同5.2%)をそれぞれ超える医薬品を薬価改定の対象とした。

5年度薬価改定は、4年薬価調査の平均乖離率7.0%の0.625倍(平均乖離率4.375%)を超える品目を対象範囲として設定。一方、7年度薬価改定は一律の基準ではなく、医薬品のカテゴリー別に対象範囲を設定する取り扱いへと見直し、全品目の約53%が対象となる。

薬価改定基準の適用についても、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給確保、国民負担の軽減といった基本的な考え方を踏まえた対応を実施。

創薬イノベーションの推進の観点から、追加承認品目等に対する加算を臨時的に実施するほか、安定供給確保が特に求められる医薬品に対して、臨時的に不採算品再算定を実施するとともに、最低薬価を引き上げる。

さらに、7年度薬価改定から、新薬創出等加算の累積額を控除する算定ルールを適用。診療報酬改定がない年の薬価改定で初めて適用される。

新薬創出等加算の累積額控除は、新薬創出等加算の対象医薬品について後発品が収載された際、これまでの加算の累積額を控除する仕組み。診療報酬改定がある年の薬価改定時に適用してきた算定ルールだが、令和元年10月の消費税引き上げに伴う薬価改定に向け議論を行った平成30年10月31日の中医協・薬価専門部会で、3年度薬価改定への反映も視野に、診療報酬改定がない年も加算とセットで累積額を控除するよう支払側委員が主張。その後も主張を続け、診療報酬がない年の薬価改定における2度の見送りを経て今回実現した。

このほか、5年度薬価改定と同様に、▽基礎的医薬品▽不採算品再算定▽後発品等の価格帯▽既収載品の外国平均価格調整─の算定ルールを適用。一方、長期収載品の薬価改定や市場拡大再算定など、その他の既収載品の算定ルールは7年度薬価改定では適用しないこととした。

3大臣の合意を踏まえ、中医協で具体的な議論を進めていくスケジュールとなっている。

福岡厚労相は、同日の閣議後記者会見で、「平均乖離率が5.2%まで縮小しているなかでも、国民の保険料負担の軽減と、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の要請に応えることの両立が重要との観点から、薬価改定の対象範囲や算定ルールの適用について、メリハリある対応を図った」との認識を示した。

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