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健保ニュース 2025年新年号

健保連・第532回理事会
宮永会長 皆保険の継承へ活動強化
全世代で支える仕組みに改革

健保連は12月20日、第532回理事会を開いた。冒頭あいさつした宮永俊一会長は、「団塊の世代」がすべて後期高齢者となる2025年が来年に迫り、高齢者医療費の増大と、それに伴う拠出金負担の増加がいっそう見込まれるなか、支え手である現役世代の負担は限界を超え、医療保険制度の中核を担う健保組合の存続が危ぶまれる事態になりかねないと問題提起した。今こそ、「現役世代の負担軽減」と「世代間の給付と負担のアンバランス解消」などの課題に道筋をつけ、国民皆保険制度を全世代で支える仕組みに変えていく必要があると強調。今後も健保組合の強い団結力と改革実現への熱い思いを燃やし続け、国民皆保険制度を未来につなげていくための活動を継続していく決意を表明した。近く決定される2025年度政府予算案に、現役世代・子育て世代の負担減につながる制度改革の確実な実行や、健保組合に対する財政支援が盛り込まれているかなど、動向を注視していく考えを示した。(宮永会長の発言要旨は次のとおり。)

理事会の開会にあたり、一言あいさつ申し上げる。
 はじめに、10月の健康保険組合全国大会は、来場とウェブにより多数の方に参加いただき、さらに、理事各位と都道府県連合会の皆さんには、多忙な時期にもかかわらず、多大な協力をいただいたこと、誠に有難く厚く感謝申し上げる。

全国大会では、福岡資麿厚生労働大臣にご臨席賜り、われわれ健保組合の厳しい実情と現役世代を守るための改革への強い思いを込めた大会決議を直接渡すことができた。

これまでも訴えてきたことだが、日本が世界に誇る国民皆保険制度は、医療費の増大と急激な少子高齢化により、現在、重大な危機に直面している。

出生数の急速な減少により、今後さらに少子化が加速する一方、いわゆる「団塊の世代」がすべて後期高齢者となる「2025年」がすぐ来年に迫り、高齢者医療費の増大と、それに伴う拠出金負担がいっそう増加することが見込まれている。

支え手である現役世代の負担は限界を超え、医療保険制度の中核を担う健保組合の存続が危ぶまれる事態にもなりかねない。

このような危機が迫るなか、福岡大臣には、負担を将来世代に先送りせず、国民の安心の礎である国民皆保険制度を持続可能なより良い制度として引き継いでいくために、年齢に関わりなく、すべての国民が能力に応じて負担し、支え合う、全世代型社会保障制度の構築に向けたさらなる改革を強く訴えた。

今こそ「現役世代の負担軽減」と「世代間の給付と負担のアンバランス解消」などの課題に道筋をつけ、皆保険制度を全世代で支える仕組みに変えていかなければならない。

また、医療の質の向上や効率化を促進する医療DXや安全・安心で効果的・効率的な医療提供体制構築のための医療機能の分化・連携の強化についても強く訴えるとともに、事業主との近い関係を生かして加入者の特性に合わせた保健事業を展開していくわれわれ健保組合自身の保険者機能を一層強化していく決意も伝えた。

今後も、われわれ健保組合の強い団結力と改革実現への熱い思いを燃やし続け、皆保険制度を未来につなげていくための活動を継続していく。

さて、先月8日の「全世代型社会保障構築本部」の会合で 石破茂首相は、「現役世代の負担を軽減し、意欲のある高齢者をはじめ、女性や障害者などの就労を促進し、誰もが年齢に関わらず能力や個性を最大限に生かせる全世代型の社会保障を構築する取り組みを進めたい」と発言した。

今月開催された社会保障審議会・医療保険部会では、いわゆる「年収の壁の対応」、「医師の偏在対策」、「高額療養費の見直し」、「医療DXの推進」など、このたびの医療保険制度改革の方向性が示されたところだが、本日の報告事項にもあるとおり、具体的な見直しに際しては、年齢ではなく、応能負担という将来への持続性を高める全世代型社会保障の理念や、保険料負担の軽減といった観点から、これらの改革を推し進める必要がある。

今月6日に閣議決定された2025年度予算編成の基本方針でも、誰一人取り残されない安心・安全な社会の実現をめざすことや、全世代型社会保障の構築、健康寿命の延伸による生涯活躍社会の実現などが盛り込まれている。

政府は、この基本方針のもと、来週中の決定をめざして来年度予算案の編成を進めることになるが、われわれも現役世代・子育て世代の負担減につながる制度改革が確実に実行され、また、健保組合に対する財政支援が きちんと盛り込まれているかなど、引き続き、予算編成の動向を注視していく必要がある。

さて、今月の2日から新規の健康保険証の発行がなくなり、本格的にマイナ保険証の利活用が始まった。

現場の健保組合の皆さんには、保険証廃止に伴う問い合わせ対応や資格確認書の職権交付など、多忙な業務に対応いただいていることに大変感謝している。

今は、移行期の混乱で業務が煩雑になる大変な時期ではあるが、マイナ保険証は、これまで分散していた医療情報の一元管理を可能とするための入口であり、そこから、医療の質の向上と効率化、医療費の適正化、さらには、医療・服薬データの見える化などの患者の利便性向上や個人の健康増進にも貢献する極めて重要な基盤となることは間違いない。

マイナ保険証の利用開始から 3年が経過したが、利用率は、11月実績で約19%と、まだまだ非常に低い状況だ。

われわれ保険者も国と一体となって、来年12月の保険証廃止に向け、これからの医療DXの推進に欠く事のできないマイナ保険証の利用率向上に努めていきたいと思う。

引き続き、健保組合の皆さんの協力をよろしくお願い申し上げる。

現在、「ポスト2025」新提言検討ワーキンググループでは、5年後、10年後に向けて国が実現すべき改革や、健保組合に求められる新たな役割などを意識した新たな提言の策定に向け、来春のとりまとめをめざして検討を重ねているところだ。

その第1弾として、健保組合の加入者へ向けたテスト形式のリーフレットを作成し、本日お配りしている。

これは、意識していただきたい医療と健康保険の「問題」を自ら考えていただくことにより、現状の課題を理解いただけるものになっている。

多くの加入者の皆さんに、このリーフレットを見ていただき、実際にかかる医療費や、皆さんの支払い額に関する仕組みや、健康保険制度を維持するための取り組みについて、理解を少しでも深めていただき、これからの自分自身の健康を守るためにできることを考えるきっかけになってほしいと思っている次第だ。

最後になるが、本日の理事会は、来年度の事業計画、予算の基本方針について諮る。
 また、改革に向けた直近の取り組み状況等の報告も合わせて行う。
 是非、理事各位の忌憚のない、意見・議論をお願い申し上げる。

また、今年の理事会は、本日が最後となる。
 本年1年も本会の運営に多大なる支援を賜ったことに厚くお礼を申し上げる。

健保組合の皆さんと家族の健勝と益々の発展、そして、すこやかに新年を迎えられることを祈念申し上げ、私からのあいさつとする。

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