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健保ニュース 2024年12月中旬号

協会けんぽ・7年度平均保険料率
支部の8割が10%維持に賛同

全国健康保険協会(北川博康理事長)は2日、運営委員会(委員長・田中滋埼玉県立大学理事長)を開催し、協会けんぽの令和7年度平均保険料率について議論した。

支部評議会における意見は、「平均保険料率10%を維持するべき」という支部が36支部で、全47支部の大勢を占めた。また、平均保険料率10%を維持することに対し、多くの委員が賛同した。

運営委員会は、7年度の平均保険料率について、今回までの議論や委員の意見などを踏まえつつ、次回23日の会合で決定し、翌年1月29日の会合では都道府県単位の保険料率を決定する予定としている。

全国健康保険協会は、7年度平均保険料率の議論の前提として、5年度決算を足元とした収支見通し(6年9月試算)を提示。

それによると、平均保険料率10%を維持した場合に賃金上昇率が1.6%のケースであれば収支が黒字で推移する一方、平均保険料率を9.9%に引き下げた場合は同賃金上昇率のケースでは11年度に赤字に陥る見通しを示した。

その他、被用者保険の適用拡大による財政負担や、赤字健保組合の解散による財政影響などを財政の留意事項とした。

7年度平均保険料率に対する支部評議会の意見は、▽平均保険料率10%維持を求めた支部が36支部(前年比4支部減)▽10%維持と引き下げの両論を併記した支部が10支部(同4支部増)▽平均保険料率の引き下げを求める支部が1支部(同増減なし)─で、平均保険料率の維持を求める支部は全支部の8割近くを占める結果となった。

個別意見では、平均保険料率10%の維持について、「中長期的な観点からやむを得ない」とする意見が大勢を占めた一方で、引き下げを求めた支部からは、「準備金のあり方について議論が必要」、「支部間格差拡大を解消すべき」などの意見が上がった。

委員からは、「団塊の世代が全員後期高齢者になる2025年以降の約15年間、平均保険料率10%を維持することが1つの目標となる」、「後期高齢者支援金や医療の高度化を要因に引き続き予断を許さない状況から、やむを得ない」─など、平均保険料率の維持に賛同する意見が大勢を占めた。

他方で、「準備金が積み上がっていることを踏まえ、準備金の性格を明確にする観点から、役割を区分する議論が必要」と問題提起する意見や「手取りを増やす観点から、平均保険料率を引き下げても国庫補助率が上がるようなコンセンサスを図ることや、若年層の保険料率の特例を検討」など、新たな視点の施策を要望する声があった。

実施策に電子申請導入等
7年度事業計画を提示

なお、この日の運営委員会では、令和7年度全国健康保険協会事業計画案が提示された。

本計画は、協会けんぽの第6期保険者機能強化アクションプランの2年目にあたる7年度に実施すべき取り組みやKPIを定めている。

取り組むべき事項として、①基盤的保険者機能②戦略的保険者機能③組織・運営体制の強化─を3本の柱として設定。

このうち、①は、健全な財政運営や給付業務品質の向上などの保険者として基本的な保険者機能の役割に取り組む。7年度からの新規項目として、「8年1月より電子申請等の導入」をDX推進の施策として追加。

②は、医療費適正化や特定保健指導の実施率および質の向上などに取り組む。7年度からの新規項目として、▽電子カルテ情報共有サービスを活用した事業所健診データ取得の推進▽胸部エックス線検査において、要精密検査・要治療と判定された者に対する受診勧奨─などを追加し、実施する方針とした。

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