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健保ニュース 2024年12月中旬号

立憲民主党等がヒアリング
健保連 現役世代の負担軽減不可欠

立憲民主党・社民党・無所属会派による厚生労働部門会議は2日、健保連から令和7年度予算および6年度補正予算に対する要望についてヒアリングを実施した。

立憲民主党は厚労部門長代理の井坂信彦衆院議員をはじめ29名が出席した。

井坂衆院議員は、冒頭あいさつで、「衆院で野党の議員数が多いことを、野党が良い社会保障政策を練り、それを通していける機会と捉え、本会議が中心となって取り組んでいきたい」との意向を示した。

健保連からは、伊藤悦郎常務理事が出席。伊藤常務理事は、健保組合・健保連の重点要望で、「現役世代の負担軽減が不可欠」と強調し、▽世代間の負担アンバランスの解消▽負担能力に応じた負担方法の推進▽持続可能な制度に向けた安定財源の確保─を訴えた。

そのうえで、制度改正に向け、①高齢者医療制度の見直し②薬価改定の毎年実施③出産費用の保険適用への検討─の3点を要望。

①は、▽70歳から74歳の前期高齢者の窓口負担割合を原則3割負担▽75歳から79歳の後期高齢者の窓口負担割合を原則2割負担▽後期高齢者の現役並み所得者(3割負担)の範囲拡大・公費投入▽医療費の高額化を踏まえた高額療養費の自己負担限度額等の見直し─を求めた。

②は、市場実勢価格を踏まえた薬剤費の適正化、薬価の引き下げ分は国民負担の軽減に還元するよう主張した。

他方、7年度政府予算・6年度補正予算に向けては、(1)高齢者医療費への拠出金の負担軽減等、現役世代負担軽減措置の確実な実行(R7概算要求950億円)▽「高額医療交付金交付事業」への国庫補助金の増額(同100億円)▽出産子育て政策、医療DXの推進につながる取組みおよびマイナ保険証の利用促進、事務負担の軽減に対する財政支援─を要望した。

伊藤常務理事の説明を受け、柚木道義衆院議員は、今月から始まったマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行について質した。

伊藤常務理事は、「マイナ保険証には、紙の保険証では享受できなかったメリットがある」としたうえで、「電子処方箋や電子カルテ情報共有サービス等の需要拡大を考えると、一義的には加入者に対し、マイナ保険証の利用を促進していきたい」と主張。

合わせて、資格確認書の発行等をはじめとする健保組合の実務面での負担増については、「国に支援を要請し、スムーズにマイナ保険証の仕組みに移行していきたい」との考えを示した。

また、岡本充功衆院議員が、受診時定額負担について、「適正な受診にしていくべきと考える一方、過度な受診抑制への懸念もある」と問題提起した。

伊藤常務理事は、受診時定額負担について、患者のアクセスを過度に制限しないような配慮が必要と回答した。

他方、大西健介衆院議員は、医師偏在の是正に向けた経済的インセンティブとして、保険料の拠出を求める案が出ていることについて、「保険料の目的外使用ではないか」と問題提起。

合わせて、いわゆる「年収の壁」への対応についての考えを質した。

伊藤常務理事は、医師偏在の是正に向け、規制的手法等を含む医師少数区域と多数区域における一体的な対応が必要と言及し、医療提供体制の整備は国が取り組むべき課題だと指摘した。

いわゆる「年収の壁」への対応については、「皆保険制度を支え、維持していく観点から、支え手を増やしていくことが重要」と述べ、多様な関係者との議論のなかで対処方法を決めていくべきとの考えを示した。

このほか、高木真理参院議員は、②について、「毎年の薬価改定で、医薬品の製造現場に負荷がかかっており、特に後発医薬品の製造が逼迫している」と指摘。

これを受けて伊藤常務理事は、「後発医薬品の供給不安の解消は重要な問題」と応じた一方で、「薬価差の解消は、健保組合の負担軽減や国民への還元につながることでもあり、国に対して適切な対応を要望していく必要がある」と強調した。

閉会にあたり、早稲田ゆき衆院議員は、「現役世代の負担軽減に重点を置いた今回の要望を踏まえ、国会での委員会等に取り組んでいきたい」との受け止めを示した。

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