健保ニュース
健保ニュース 2024年12月中旬号
6年度補正予算案を閣議決定
マイナ保険証周知広報に47億円を措置
医療機関等 1311億円の支援パッケージ
政府は11月29日、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」の裏づけとなる令和6年度補正予算案を閣議決定した。
一般会計の歳出総額は13.9兆円。このうち、厚生労働省の所管分は8454億円で、①医療・介護・障害福祉分野のさらなる賃上げの支援等、医師偏在是正に向けた対策の推進(2861億円)②持続的・構造的賃上げに向けた支援等(313億円)③創薬力強化に向けたイノベーションの推進、医薬品等の安定供給確保(442億円)④医療・介護DX等の推進(1447億円)⑤国際保健・次なる感染症に備えた対応等(1022億円)⑥国民の安心・安全の確保(2205億円)─を盛り込んだ。
④では、マイナ保険証の利用促進に向けた取り組みとして、353億円を計上した。
このうち、マイナ保険証の円滑な移行に向けた周知広報等に47億円を充てる。マイナ保険証の利用促進と定着に向け、国民への集中的な広報、医療機関・薬局等における利用促進の働きかけを行うとともに、国民の不安や懸念を払しょくできるよう丁寧な対応を重視。周知広報として、厚労省からマイナ保険証のメリットなどリーフレット等への記載事項の提示を受け、医療保険者等が作成し、加入者に周知するスキームを示した。
また、マイナ保険証の利用促進と定着に向け、早期の取り組みを後押しする目的から、令和6年12月2日よりオンライン資格確認の導入が原則義務化される訪問看護ステーションや受領委任払いを実施する柔整あはき施術所の支援として260億円を措置。訪問診療時にオンライン資格確認に用いる機器導入を支援する。
全国医療情報プラットフォームや電子カルテ情報共有サービスの構築、電子処方箋のさらなる全国的な普及拡大等の促進には、274億円を計上した。電子処方箋の活用・普及の促進事業には、61億円を充当し、オンライン資格確認等システムを導入した概ねすべての医療機関・薬局の電子処方箋管理サービス導入に向け、令和7年3月までにサービスを導入した施設に対して費用を助成する。
診療報酬改定DXの取り組みの推進には、104億円を計上。診療報酬改定時のシステム改修など医療機関等やベンダの負担の極小化をめざす診療報酬改定DXに94億円を充当し、開発・運用主体の社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険中央会を支援する。
他方、①は、医療・介護・障害福祉分野の生産性向上・職場環境改善等によるさらなる賃上げ等の支援として、1892億円を計上した。
「人口減少や医療機関の経営状況の急変に対応する緊急的な支援パッケージ」として、(1)生産性向上・職場環境整備支援に828億円(2)経営状況の急変等を踏まえた支援として、医療機関に428億円(3)同様に産科・小児科医療確保事業に55億円─の総額1311億円を充当し、医療機関等を支援する。
(1)は、令和6年度診療報酬改定で新設したベースアップ評価料を算定し、生産性向上に資する設備導入などの取り組みを進める医療機関等に対し、経費相当分の給付金を支給する。
交付額は、▽病院・有床診が4万円/病床数▽診療所(医科・歯科)・訪問看護ステーションが18万円/施設─。取り組み例として、タブレット端末などICT機器の導入による業務の効率化、医師事務作業補助者の配置などタスクシフト/シェアによる業務の効率化を挙げた。
(2)は、医療需要の急激な変化を受けて病床数の適正化を進める医療機関を対象に、経費相当分の給付金を支給する。交付額は、病院(一般・療養・精神)・有床診で4104千円/床。
また、物価高騰を含む経済状況の変化により、施設整備が困難な病院等に給付金を支給。交付額は、(市場価格─補助事業単価)×国負担分相当とした。
(3)は、急激に分娩数が減少している分娩取扱施設や分娩取扱施設が少なく、集約化が困難な地域に所在する施設などに対し、事業を継続するための費用などを支援する。
このほか、医師偏在是正に向けた医師不足地域の診療所の承継・開業の支援、リカレント教育の実施および医師のマッチングの支援等に109億円を計上した。