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健保ニュース 2024年12月上旬号

国民民主党がヒアリング
健保連 高齢者医療の見直し等要望

自民党の社会保障制度調査会(田村憲久会長)年金委員会(宮沢洋一委員長)・医療委員会(後藤茂之委員長)は11月26日、合同会議を開き、被用者保険の適用拡大をテーマに健保連など関係団体にヒアリングを実施した。

医療保険者の立場から意見陳述した健保連の佐野雅宏会長代理は、被用者保険の適用拡大は必要と理解を示す一方、さらなる適用拡大により、小売業や運輸業などの短時間労働者を多く抱える業種の健保組合の財政的な負担が増えることを危惧。

適用拡大を進めるにあたっては、詳細な財政影響を試算するなど健保組合への財政影響に十分留意し、必要な財政支援を行う対応が不可欠との考えを示した。

社会保障審議会年金部会・医療保険部会で示された方向性案のうち、現行の「労働時間要件(週20時間以上)」に対しては、「週40時間労働の半分以上、その事業所で働いているという現行の要件は妥当」と指摘。

一方、「賃金要件(月額8.8万円以上)」に対しては、「賃金要件の廃止も検討していくべきと考えるが、最低賃金の地域差の状況、短時間労働者の手取り収入の減少、事業者や医療保険者の事務負担・財政影響等に配慮した対応を慎重に議論すべき」との考えを示した。

また、「企業規模要件の撤廃、常時5人以上の個人事業所における非適用業種の解消については、異論はない」と言及した。

全国健康保険協会は、被用者保険の適用拡大により、短時間労働者の多くが協会けんぽに加入する場合、▽適用・徴収・給付などの事務処理負担の増加への対応が必要▽引き続き効果的な保険者機能を発揮するためには短時間労働者が事業主と被用者との一定の関係性を基盤とする被用者としての実態を備えていることが重要▽協会けんぽの財政に影響が生じるおそれがあることに留意が必要─と主張した。

国民健康保険中央会は、被用者保険の適用拡大が進められた場合、国民皆保険制度を支える最後の砦である市町村国保の財政基盤や保険者機能の発揮に大きな影響が及ぶことを危惧。医療保険制度は、年金制度とは別に一定の歯止めを設けることも将来は考えなければならないとの認識を示した。

経済団体連合会は、令和7年の次期改正で対応すべき事項として、▽企業規模要件の撤廃▽5人以上の個人事業所の非適用業種の解消▽賃金要件の撤廃─と列記。変更時には事業主側に様々な負担増大が生ずるとして、実施時期等を含めた配慮が重要と訴えた。

関係団体の意見陳述に対し、出席議員は、「医療保険制度のなかで現役世代は保険料の4割を後期高齢者、前期高齢者のために拠出しているが、これを税負担とすることで現役世代の手取りが増えるという改革を先に議論するべきだった」との考えを示したほか、「年金制度と医療保険制度の抜本的な改革議論が求められる」、「時間軸を示したうえで改革案を整理する必要がある」などの意見があった。

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