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健保ニュース 2024年12月上旬号

被用者保険関係5団体が医師偏在是正へ意見書
総合対策パッケージ反映へ要望
経済的手法に 保険料充当は「妥当性欠く」

健保連、全国健康保険協会、日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本労働組合総連合会の被用者保険関係5団体は11月29日、医師偏在是正に向けた共同の意見書を福岡資麿厚生労働大臣あてに提出した。過不足のない医療提供体制が求められるなか、医師偏在是正対策は極めて重要な課題と指摘し、保険財政と医療資源に限りがあることを踏まえ、「総合的な対策パッケージ」を策定するよう強く要望した。経済的インセンティブの財源として、保険給付と関連性の乏しい使途に保険料を充当することは著しく妥当性を欠くと強調。診療報酬による対応を検討する場合でも、最低限、財政中立を前提としてメリハリをつけるべきと訴えた。意見書の提出後、5団体の代表者が記者会見し、健保連の松本真人理事は、「被保険者と事業主が負担する保険料は給付のために使用するものであり、医療提供体制の整備に充当することが目的ではない」と発言した。

健保連から松本真人理事、全国健康保険協会の川又竹男理事、日本経済団体連合会の間利子晃一経済政策本部上席主幹、日本商工会議所の五十嵐克也理事・企画調査部長、日本労働組合総連合会の佐保昌一総合政策推進局長が厚生労働省を訪ね、保険局の鹿沼均局長、医政局の森真弘審議官に意見書を手渡した。

意見書は、将来にわたり国民皆保険制度を堅持し、必要な時に必要な医療が受けられるフリーアクセスを患者に保障するためには、過不足のない医療提供体制が求められると指摘。現在、政府で検討している医師偏在是正対策は、医療提供体制における極めて重要な課題との認識を示し、保険財政と医療資源に限りがあることを十分に踏まえ、「総合的な対策パッケージ」を策定するよう強く要望した。

医師偏在の問題は、様々な偏在に対して、それぞれ真に実効性ある対策を講じることが必須とし、その際、医師多数対策と医師少数対策の一体的な実施が重要としたほか、規制的手法を中心に、より強力な対応を進めるべきとした。

そのうえで、医師多数の区域および診療科に対しては、強力な規制的手法により新規参入抑制と新陳代謝の活性化を図るべきと主張。医師少数区域では、可能な限り幅広い医療機関の管理者要件に医師少数区域での勤務経験を規定する必要があるとした。

他方、「地域に必要な医療提供体制は都道府県が主体となって整備し、国は都道府県の取り組みを支援する責任を果たすべき」と要望。医師少数の区域や診療科における医師確保や、病診間における医師偏在の是正に向け、「まずは国と都道府県が拠出する基金等のさらなる活用による経済的インセンティブを検討すべき」との考えを示した。

経済的インセンティブの財源として、「保険給付と関連性の乏しい使途に保険料を充当することは、著しく妥当性を欠く」と強調。診療報酬による対応を検討する場合でも、補助金や税制との役割分担を明確にしたうえで、医療の適正化も念頭に、最低限、財政中立を前提としてメリハリをつけるべきと訴えた。

医師偏在是正に向けた共同意見書

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