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健保ニュース 2024年11月下旬号

生きがいの創出シンポジウム
佐野会長代理 医療のイノベーションに期待

日本医師会(松本吉郎会長)と先進医療技術工業会(スコット・ウィタカー理事長)、米国医療機器・IVD工業会(玉井孝直会長)は8日、東京都千代田区で、「活気ある国家:生きがいの創出・第8回シンポジウム」を共催した。健保連と日本医療機器産業連合会(山本章雄会長)が後援。

同シンポジウムでは健保連の佐野雅宏会長代理が来賓あいさつし、厚生労働省が本年8月に公表した「近未来健康活躍社会戦略」で、国民1人ひとりが長く健康で有意義な生活を送ることができる「健康活躍社会」の実現が目標とされたことなどを踏まえつつ、「本シンポジウムで取り上げられてきた活気ある国家、生きがい創出の重要性は高まってきている」と強調。

健康活躍社会の実現に向け、「増加する高齢者の知恵や経験を社会のなかで生かしていくことが重要」との考えを示した。

合わせて、佐野会長代理は、医療DXの推進について、「医療の効率化や標準化のみならず、創薬や医療機器の開発にも貢献することが期待される」と言及。

そのうえで、医療分野でのイノベーションについて、「健康寿命の延伸や国民のQOL向上への貢献にとどまらず、活気ある国家、生きがい創出を必ずや実現していく」と期待を寄せた。

また、「革新的エコシステムによる生涯現役社会を実現」をテーマとするパネル討論では、健保連の幸野庄司参与が、医療技術のイノベーション評価と医療保険制度のあり方について言及。

幸野参与は、「国民医療費は現時点では約47兆円だが、2040年には約1.5倍の約73兆円になる」と説明し、「国民皆保険制度が今後、増大した医療費を支えていけるのかどうかという問題意識を共有していかねばならない」と主張した。

そのうえで、持続可能な国民皆保険制度の実現と革新的医療技術の普及に向け、給付と負担のバランスの整理や医療の高度化に対応した診療報酬制度の確立などをはじめとする「医療保険制度の聖域なき改革」と「DXの達成」が必要と指摘。

医療技術のイノベーションを評価するとともに、聖域なき改革による「メリハリのある医療保険制度」の構築を並行して行うべきとの考えを示した。

なお、本シンポジウムでは、福岡資麿厚労相が来賓あいさつに立ち、「国民1人ひとりが生きがいをもって健康でいるためには、アンメットメディカルニーズを充足するための研究開発を加速しつつ、質の高い医療を継続的に提供できる環境を整備する必要がある」と発言。

そのうえで、厚労省として、患者の医療機器へのアクセスを確保しつつ、生涯現役社会の実現に向け、関係者と積極的に情報交換を行いながら様々な取り組みを着実に進めていく意向を示した。

このほか、本シンポジウムには、「国民医療を守る議員の会」の会長として加藤勝信財務相が出席し、「2040年に向け、医療の持続可能性を確保していくためには、財源とマンパワーの2点が重要になる」と言及。

医療DXをはじめとする様々なイノベーションを積極的に取り入れ、人口減少社会においてもしっかりとしたサービスが提供される環境を整備することで、医療・介護の持続可能性が維持されていくとの認識を示した。

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