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健保ニュース 2024年11月中旬号

日本健康会議が達成状況を報告
健康経営企業数は12万社に増
マイナ保険証利用促進2健保組合を表彰

保険者や経済団体、医療関係団体など民間主導で健康づくりを推進する日本健康会議が10月30日に開催され、2021年に第2期の宣言として採択した「健康づくりに取り組む5つの実行宣言2025」の達成状況を報告した。

日本健康会議は、全保険者を対象に今年7月19日~8月30日に実施した「2024年度保険者データヘルス全数調査」の集計にもとづき、2025年度を目標達成年度とする5つの宣言の達成状況を取りまとめた。

宣言1「地域づくり・まちづくりを通じて、生活していく中で健康でいられる環境整備に取り組む自治体を1500市町村以上とする」は、224市町村が達成したが、達成率は前年と同様の14.9%にとどまった。

宣言2「47都道府県全てにおいて、保険者協議会を通じて、加入者及び医療者と一緒に予防・健康づくりの活動に取り組む」は、6都道府県が達成。達成率は前年と同様の12.8%に停滞した。

宣言3「保険者とともに健康経営に取り組む企業等を15万社以上とする」は、大規模法人の2988社と中小規模法人の11万7755社の計12万743社が達成し、達成率は80.5%となった。なお、2022年、2023年の過年度分の調査で中小規模法人数に集計上の誤りがあることが判明し、訂正数値をもとにこれまでの伸び率等を勘案して達成目標を2024年より15万社に修正。この場合、達成率は前年の70.3%から10%超上昇した。

宣言4「加入者や企業への予防・健康づくりや健康保険の大切さについて学ぶ場の提供、及び上手な医療のかかり方を広める活動に取り組む、保険者を2000保険者以上とする」は、404保険者が達成し、達成率は20.2%。達成率は前年の17.9%から上昇し、2割を超えた。 

宣言5「感染症の不安と共存する社会において、デジタル技術を活用した生涯を通じた新しい予防・健康づくりに取り組む保険者を2500保険者以上、医療機関・薬局を20万施設以上とする」は、達成したのは20保険者で、達成率は0.8%にとどまる一方、20万9867医療機関・薬局が要件を達成し、達成率は目標を上回る104.9%となった。

宣言5に関しては、マイナンバーカードの健康保険証利用を推進する観点から、2023年10月以降、「達成要件」と「具体的な取組」の一部を見直した。

保険者の「達成要件」には、①加入者へマイナンバーカードを健康保険証として利用登録するよう呼びかけを行い、加入者のうち利用登録した者の割合を70%以上とする②各保険者でマイナ保険証の利用に関する目標を設定し、加入者へ医療機関等へのマイナ保険証の持参、利用を呼びかけるなどの利用促進に取り組む─ことの2指標を追加。達成率は前年の6.3%から0.8%に低下した。

従来の「加入者の特定健診等情報のオンライン資格確認等システムへの格納について、閲覧用ファイルを提出する方法を活用していること」と合わせて3指標すべての実施が達成要件となり、達成率が低下した要因と想定される。

日本健康会議の共同代表を務める日本商工会議所の小林健会頭は、会議冒頭のあいさつで、「少子高齢化と人口減少社会のなかで、社会保障の持続可能性を確保するためにも、1人ひとりの健康寿命の延伸にこれまで以上にしっかり取り組む必要がある」と指摘。そのうえで、「コラボヘルスと健康経営の推進は、従業員の健康の保持・増進につながり、企業の生産性向上や将来的な医療費の適正化に寄与するもの」との認識を示し、「日本健康会議でも車の両輪として取り組みを一層強化していく」と述べた。

来賓としてあいさつした福岡資麿厚生労働相は、「団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年以降、高齢者人口がピークを迎える2040年頃を見据えて健康寿命を延伸し、活力ある社会を構築していくための取り組みをしっかりと進めていく必要がある」と発言。予防、健康づくりを進めるうえでは、企業の経営者と保険者が一丸となって健康課題の問題意識を共有して取り組みを進めることが重要と強調し、経済産業省と協力してこれまで以上に日本健康会議の取り組みをバックアップしていく考えを示した。

武藤容治経済産業相は、今後とも健康経営が従業員のみならず、その家族を含めた健康意識の向上など、国民全体の健康寿命の延伸につながる取り組みとなるよう、関係省庁や民間とも連携しながら一層の普及促進を図っていくとした。

加藤勝信財務相は、「官民挙げて取り組んできた10年を超える取り組みのなかで、今や健康経営、健康づくり、健康なまちづくりは当たり前の言葉となって進んでいる」と言及し、こうした流れを「健康づくりに取り組む5つの実行宣言2025」の実現を通じて、確かなものにしていくことを期待した。

加入者の予防・健康づくり
功績者10健保組合を表彰

日本健康会議では、①健康保険組合等加入者の予防・健康づくり功績者②マイナ保険証の利用促進─について表彰した。

①は、令和4年度後期高齢者支援金の加算・減算制度において、総合評価指標の合計点数が上位5位以内の単一健保組合(得点は200点満点で、平均点は74.3点)の▽山形銀行健保組合(163点)▽KOA健保組合(159点)▽アドバンテスト健保組合(158点)▽花王健保組合(150点)▽グラクソ・スミスクライン健保組合(149点)─を対象に表彰。

総合組合(平均点は69.0点)は、▽しんくみ東海北陸健保組合(151点)▽愛鉄連健保組合(139点)▽愛知県信用金庫健保組合(136点)▽トヨタ関連部品健保組合(136点)▽三重県農協健保組合(135点)─を対象に表彰した。

表彰後に総評した厚生労働省の鹿沼均保険局長は、人口減少、少子高齢化のなかで制度の持続可能性を維持し、国民の安全、安心に資することが極めて重要になっていると指摘。

そうしたなかで予防、健康づくりがキーポイントになるとの認識を示し、医療保険財政的にも非常にプラスになるとして、引き続きの尽力を依頼した。

②は、マイナ保険証の▽7月の利用実績▽4月から7月までの利用実績の伸び─がそれぞれトップの(1)都道府県の施設類型(医科診療所・病院・歯科診療所・薬局)(2)市町村国保、国保組合および被用者保険─の2類型を対象に表彰。

このうち、被用者保険は7月の利用実績が22.7%だった「北國FHD健保組合」と、4~7月の利用実績の伸びが9.8%だった「植木組健保組合」を対象に表彰した。

厚労省の鹿沼保険局長は、「マイナ保険証は医療DXの基盤として、患者本人の健康医療情報にもとづき、より良い医療の提供を可能にするもの」と言及。

一方、12月2日に健康保険証の新規発行停止を迎えるにあたり、国民から様々な不安の声も寄せられているとして、そういった声にしっかり寄り添いながら、マイナ保険証へのスムーズな移行に万全の体制を尽くしていく考えを示した。

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