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健保ニュース 2024年10月中旬号

新地域医療構想検討会
医師偏在是正対策を議論
河本専務理事 強力な規制で根本解決を

「新たな地域医療構想等に関する検討会」(座長・遠藤久夫学習院大学長)は9月30日、医師偏在是正対策について議論した。

8月30日に厚生労働省が公表した「近未来健康活躍社会戦略」では、「医師偏在是正に向けた総合的な対策のパッケージ」を年末までに策定する方針が示されている。関係審議会における議論と並行し、同検討会でも年末に向けて議論を進めて行く。

この日の会合で厚労省は、①医師確保計画の実効性②医師の確保・育成③実効的な医師配置④実施に向けて─を柱とする総合的な対策パッケージの「骨子案」の論点に対し、取り組みの方向性案を示した。

①は、優先的かつ重点的に対策を進める区域を「重点医師偏在対策支援区域 (仮称)」として設定。国が基準を設け、都道府県と調整し選定する。都道府県の医師確保計画では、「医師偏在是正プラン(仮称)」を策定し、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」、対象医療機関、必要医師数を具体的に示すとした。

②は、規制的手法を提示。医師少数区域での勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関を拡大する。他方、外来医師多数区域での新規開業希望者に対し、地域で必要な医療機能を要請する仕組みをガイドラインから医療法の位置づけに引き上げ、都道府県知事の権限を強化する。

具体的には、▽事前に提供予定の医療機能の届出を求め、不足している医療機能の提供を要請する▽提供しない場合は、都道府県から勧告・公表を行い、実効性確保のため、保険医療機関制度での取り扱いも検討する▽外来医師多数地域での開業を許可制とし、開業の上限を定める─取り組みを示した。

③と④は、「重点医師偏在対策支援区域 (仮称)」での医師確保を推進するための経済的インセンティブについて、国や地方、保険者等からの協力の在り方について社会保障審議会医療保険部会を中心に検討する方針を示した。

健保連の河本滋史専務理事は、②は、医師多数区域に集中する要因・背景を明らかにし、強力な規制で過剰な開業を抑制、実効的に配置転換を進めないと根本的な解決はできないと指摘。

医師多数区域に新規参入する医療機関には、地域で不足する診療科・医療機能を充足させる場合のみ保険医療機関の指定を行うべきと主張し、遵守できない場合は指定を取り消すべきとの考えを示した。

また、③と④は「行政の役割」と強調するとともに、「医師少数区域での経済的インセンティブを検討するのであれば、当然、医師多数区域でのディスインセンティブの設定もセットで考えるべき」と問題提起。そのうえで、「医療保険を保険給付以外の目的で使用するということは、健保組合として被保険者と事業主に説明がつかない」と改めて訴えた。

一方、江澤和彦構成員(日本医師会常任理事)は、開業の上限を定めることは、憲法上の職業選択・営業の自由との関係・整理が必要と主張。保険医療機関の指定取り消しをはじめ、「行き過ぎた規制には反対」との姿勢を明確にした。

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