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健保ニュース 2024年10月中旬号

四国地区四県連合会が時局講演会
国民民主党玉木代表 医療保険は応能負担に

健保連四国地区四県連合会と健保連本部は9月27日、香川県高松市で時局講演会を共催した。健保組合関係者79名が集まった。

講演会には、国民民主党党首の玉木雄一郎衆議院議員が出席し、「人口減少社会における医療保険者の役割」と題し講演した。

玉木氏は講演の冒頭、「現役世代に社会保険料の負担が偏っている状況の見直しが求められる」と言及したうえで、社会保険料の負担を「年齢ではなく能力に応じた負担に変えていく必要がある」との考えを示した。

社会保険料については、現役世代の負担を軽減するために「後期高齢者医療制度の窓口負担を原則2割」としたうえで、「金融所得や資産も加味しつつ、3割負担の範囲を拡大する改革が必要」と主張。能力に応じた負担と世代間および世代内の支え合いの機能を強めていくことが重要と提言した。

他方、「自己負担額の議論は窓口負担を何割にするのかということに加えて、窓口負担の実質的な上限となっている高額療養費制度の自己負担の上限額とセットで論じる必要がある」との見解を示した。

さらに、「拠出金という形で他の保険者から交付を受ける仕組みである後期高齢者医療制度により、現役世代の負担は限界に達している」として、「後期高齢者医療への公費投入の拡大」や「公費投入による協会けんぽや健保組合の保険料引き下げ」などの改革が必要と訴えた。

このほか、地域医療における課題や医療DXなどについても言及した。
 質疑応答では、新たな国民病といわれる「慢性腎不全(CKD重症化対策)」について、健保組合では前期高齢者の方に人工透析患者が生じると1人当たり約500万円の医療費が必要となり、2年後に医療費の数倍もの前期高齢者納付金を支払うことになると指摘し、腎臓病対策の取り組みに関する見解を質す意見があった。

玉木氏は、「慢性腎不全による人工透析が組合財政に与える影響は大きい」と理解を示したうえで、「事前にこれからどう予防し、早期に発見していくのかが非常に重要」と応答。健康診断の法定検査項目の見直しなどを行うことで、国民の意識向上や組合財政の改善にも資するとの考えを示した。

講演会の冒頭、あいさつした健保連の鷹野英樹総務理事は、「人口の問題や財政・制度の持続性」を日本における課題とし、「先の見えない状況で、皆保険制度が将来においても持続可能性があるのか疑念が生じると思う」と問題提起したうえで、「今後も政府に対応を要請していく」と述べた。

開会のあいさつに立った岩根正明香川連合会会長(百十四銀行健康保険組合)は、「人口減少社会において高齢者拠出金などが現役世代に多くのしかかってくることから、このままでは世界に誇る皆保険制度が維持できなくなる」と危機感を露わにし、「わがこととして、次世代に皆保険を伝えていくためにどうしたらよいのかを考える機会にしてほしい」と強調した。

閉会のあいさつに立った中川幹宏常務理事(いよぎんグループ健康保険組合)は講演を受け、「健保組合が持続的な運営を行っていくためには現場のわれわれが日々の活動のなかで、課題解決に取り組むことはもちろん、高齢者医療拠出金負担による健保組合の厳しい財政への支援を健保連を通じて主張していく」との決意を表明した。

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