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健保ニュース 2024年9月下旬号

健保組合の生活習慣病動向調査
医療費割合 入院6%、外来14%
外来は糖尿病等3疾患で8割

健保連はこのほど、「令和4年度生活習慣関連疾患の動向に関する調査」の結果を公表した。

それによると、生活疾患関連10疾患医療費の医科入院に占める割合は5.8%、医科入院外に占める割合は13.5%となることが明らかになった。

医科入院外では、糖尿病が前年度比5.2%増と大きく増加し、加入者1人当たり医療費も5393円と最も高く、高血圧症、高脂血症の3疾患で医科入院外医療費の8割を占めた。

調査は、1310組合の医科・歯科・調剤レセプトをもとに、生活習慣関連疾患の1人当たり医療費や受診者数などの医療費関連指標にもとづき動向を取りまとめた。伸び率は、4年度と3年度にわたりデータ提供があった1290組合のレセプトデータを比較した。

調査対象とした生活習慣関連疾患は、疾病19分類上の「内分泌・栄養・代謝系疾患」と「循環器系疾患」で、このうち、①糖尿病②脳血管障害③虚血性心疾患④動脈閉塞⑤高血圧症⑥高尿酸血症⑦高脂血症⑧肝機能障害⑨高血圧性腎臓障害⑩人工透析─の10疾患を生活習慣関連疾患として集計した。

内分泌・栄養・代謝と
循環器は全体の約9%

疾病医療費総額(3兆9254億円)に占める「内分泌・栄養・代謝」および「循環器系疾患」の医療費の割合は、「内分泌・栄養・代謝」が9.2%(3629億円)、「循環器」が8.9%(3498億円)だった。

内訳は、「内分泌・栄養・代謝」が医科入院0.6%、医科入院外8.7%、「循環器」が医科入院3.7%、医科入院外5.2%。対前年度比伸び率は、「内分泌・栄養・代謝」が3.2%増(医科入院4.0%減、医科入院外3.5%増)、「循環器」が2.1%増(同3.2%増、同1.3%増)となる。

医科入院の加入者1人当たり医療費は、「内分泌・栄養・代謝」が前年度比0.3%増(受診率1.1%増、1件当たり日数1.2%減、1日当たり医療費0.4%増)の813円、「循環器」が同4.0%増(同0.9%増、同1.5%減、同4.6%増)の5412円。

医科入院外の加入者1人当たり医療費は、「内分泌・栄養・代謝」が前年度比4.2%増(同4.5%増、1件当たり日数0.7%増、1日当たり医療費1.4%減)の1万2580円、「循環器」が同2.1%増(同3.4%増、同0.0%増、同1.1%減)の7497円だった。

受診者数は入院・高血圧
外来・高脂血症が最多

生活習慣関連10疾患の加入者1000人当たり受診者数(年度平均)をみると、医科入院は高血圧症が0.54人と最も多く、次いで、糖尿病の0.44人、高脂血症の0.31人と続いている。

他方、医科入院外は、高脂血症が58.2人と最も多く、次いで、高血圧症の58.1人、糖尿病の41.8人の順だった。

10疾患別の推計受診者数(年度平均)の構成割合をみると、医科入院は、▽高血圧症(31.6%)▽糖尿病(25.6%)▽高脂血症(18.4%)─。医科入院外は、▽高脂血症(30.2%)▽高血圧症(30.1%)▽糖尿病(21.6%)─となる。

10疾患の推計受診者総数(積み上げ)は、医科入院では「60~64歳」が最も多く、次いで、「55~59歳」、「50~54歳」の順。30歳以降は、高血圧症(30.6~32.8%)、糖尿病(24.5~26.8%)、高脂血症(17.4~19.1%)が高い割合を占めた。

一方、医科入院外では「55~59歳」が最も多く、次いで、「60~64歳」、「50~54歳」と続く。50~64歳では、高血圧症(31.7%)、高脂血症(30.5%)、糖尿病(20.5%)の3疾患で全体の8割超を占めた。

生活疾患の入院医療費
脳血管障害の割合が4割

医科入院(8904億円)に占める10疾患医療費(514億円)の割合は5.8%で、脳血管障害が2.3%(202億円)と最も高く、次いで、虚血性心疾患の1.6%(146億円)、糖尿病の0.7%(60億円)などの順で、脳血管障害が医科入院医療費の4割を占めた。

対前年度比伸び率は、▽動脈閉塞(39.9%増)▽高血圧性腎臓障害(33.4%増)▽虚血性心疾患(1.8%増)▽高血圧症(0.2%増)─で増加する一方、▽肝機能障害(20.3%減)▽高尿酸血症(10.9%減)▽人工透析(7.5%減)▽糖尿病(5.1%減)▽脳血管障害(3.0%減)▽高脂血症(2.4%減)─は減少した。

加入者1人当たり医療費は、脳血管障害が747円と最も高く、次いで、虚血性心疾患の539円、糖尿病の221円と続く。

医療費3要素でみると、「受診率」は▽高血圧症(6.5件)▽糖尿病(5.3件)▽高脂血症(3.8件)─、「1件当たり日数」は▽動脈閉塞脳血管障害(18.2日)▽脳血管障害(17.6日)、▽人工透析(14.3日)─、「1日当たり医療費」は▽虚血性心疾患(3万3412円)▽人工透析(3万3328円)▽脳血管障害(2万6464円)─の順に高い。

推計受診者1人当たり医療費は、脳血管障害が582万548円と最も高く、次いで、人工透析の581万6672円、虚血性心疾患の390万9725円などとなっている。

10疾患の総額は、「55~59歳」が最も高く、次いで、「60~64歳」、「50~54歳」と続く。いずれの年齢階層でも「脳血管障害」の割合が最も高く、「20~39歳」では、次いで、糖尿病の割合が高かった。

生活疾患の外来医療費
糖尿病は前年度比5%

医科入院外(3兆350億円)に占める10疾患医療費(4082億円)の割合は13.5%で、糖尿病が4.8%(1461億円)と最も高く、高血圧症の3.2%(961億円)、高脂血症の2.4%(716億円)などの順で、上位3疾患で8割近くを占めた。

対前年度比の伸び率は、▽糖尿病(5.2%増)▽高血圧性腎臓障害(2.7%増)▽虚血性心疾患(1.3%増)▽人工透析(1.1%増)▽肝機能障害(0.6%増)─で、糖尿病の伸び率が大きい。一方、▽高尿酸血症(24.4%減)▽高脂血症(2.0%減)▽動脈閉塞(1.1%減)▽高血圧症(1.0%減)▽脳血管障害(0.8%減)─は減少した。

加入者1人当たり医療費は、糖尿病が5393円と最も高く、次いで、高血圧症の3546円、高脂血症の2643円と続く。

医療費3要素でみると、「受診率」は▽高脂血症(706.7件)▽高血圧症(706.5件)▽糖尿病(517.5件)─、「1件当たり日数」は▽人工透析(12.6日)▽動脈閉塞(1.6日)▽虚血性心疾患(1.5日)─、「1日当たり医療費」は▽人工透析(2万9684円▽糖尿病(8205円)▽脳血管障害(5761円)─の順に高い。

推計受診者1人当たり医療費は、人工透析が450万4235円と最も高く、次いで、糖尿病の12万9109円、脳血管障害の10万158円などだった。

10疾患の総額は、「55~59歳」が最も高く、次いで、「60~64歳」、「50~54歳」と続く。いずれの年齢階層でも糖尿病の割合が最も高く、「40~59歳」、と「60~74歳」では、次いで、高血圧症の割合が高かった。

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