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健保ニュース 2024年9月下旬号

病床機能4区分は維持
新地域医療構想検討会 医療機関機能も報告

「新たな地域医療構想等に関する検討会」(座長・遠藤久夫学習院大学長)は6日、2040年頃を見据えた地域医療構想に向けた議論を行い、医療機関から「病床機能報告」と合わせて、新たに医療機関機能の報告を求める方向性を概ね了承した。

都道府県が構想区域ごとに推計する医療需要や病床必要数については、これまでと同様、4つの「病床機能区分」(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)を維持。具体的な内容は今後の検討となる。

厚生労働省は、病床機能・医療機関機能を▽病床区分ごとの必要量▽医療機関機能の明確化▽医療機関の報告─の観点から整理し、医療提供体制を構築することを提案した。

このなかで、医療機関機能は、地域の医療提供体制の検討に際し、連携・再編・集約化に向け地域で求められる役割を担うものと位置づけた。また、病床機能や医療機関機能の報告について、診療報酬の届出に応じた客観性を有する報告として一定の医療機関の役割を明確にする仕組みを創設するとした。

「病床機能報告」では、病棟単位を基本として、病床で担う医療機能の現状と今後の方向性を報告する。医療機能を4区分から1つ選択するが、区分の相違が分かりづらいなどの課題がある。他方、医療機関機能の報告には、医療機関単位で担う医療機能を設定し、複数選択を可能とする方法が想定されている。

また、この日の会合で厚労省は、急性期入院医療をテーマに挙げ、医療機関機能を①高齢者医療救急②救急・急性期─と設定することを提案した。

①は、救急搬送、入院早期からのリハビリ等の離床のための介入に加え、退院調整や通所・訪問でのリハビリを継続する②は、医療従事者の働き方・医療の質を確保するため、搬送体制の強化に取り組み、一定の症例数を集約し、地域の拠点として対応する─体制を挙げた。

健保連の河本滋史専務理事は、「急性期入院医療では、いかに短期間で通常の生活に戻れるのかが最終的なアウトカム」と言及。また、医療人材不足・手術件数の減少が見込まれるなか、「手術など診療密度の高い医療は、対応する医療機関を拠点化することが必要」と指摘し、病床数の指標だけではなく、医療機関機能として集約化・大規模化を進め、症例集積を高めることが重要との考えを示した。

医療機関機能の報告の新設について、福島県保健福祉部次長の玉川啓構成員は、「地域の政策課題に即した視点で病院機能を把握し、強化する観点から重要」と述べ、「病床機能区分」に合致しないケースに応えられる制度設計を要望した。

報告に診療報酬の届出に応じた客観性を持たせる方針に対し、日本医師会常任理事の江澤和彦構成員は、「現行は医療機関の報告ベースだが、医療機関を客観的に見る指標として、NDBやDPCのデータは精度が高く有効」と指摘した。

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