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健保ニュース 2024年9月下旬号

大阪連合会が大阪市で時局講演会
梅村氏 医療保険に応能負担を

健保連大阪連合会(久保俊裕会長)と健保連本部は11日、大阪府大阪市で時局講演会を共催した。健保組合関係者60名が集まった。

講演会には、日本維新の会の梅村聡参院議員が出席し、「応能負担への転換と高齢者に相応しい診療報酬体系の構築が医療保険財政にとって重要となる」との考えを示した。

梅村氏は、講演の冒頭で日本の医薬品の供給問題について言及。「生産コストを抑制するため、麻酔薬や抗生物質、循環器系の薬はほぼ海外で生産しており、仕入れが止まった際の影響は非常に大きい」と指摘した。

海外生産している薬を単に国内での生産に移行させる場合、薬価が上昇し、国民・患者の負担が大きくなるとして、「薬価を低く維持したまま国内で生産するため、海外生産と国内生産との間に生じるコストの差額を国が補填するような対応を検討しなくてはならない」との考えを示した。

さらに、医療費適正化については、令和6年度診療報酬改定での特定疾患療養管理料の見直しを例に挙げ、「特定疾患療養管理料は月2回の算定を可能としていたが、月に2回の診察による疾病管理の適切性については考えていく必要がある」との認識を示し、「医療界が取り組まなければいけないことがたくさんある」と主張した。

このほか、介護保険制度や認知症患者への医薬品処方の課題にも言及した。
 社会保障および医療制度改革については、「財源やお金の問題のみならず、現状の医療のあり方が問われている」と説明し、このようなトピックスが国会で議論されていることを健保組合関係者へ改めて周知した。

質疑応答では、高齢化や医療の高度化、医療関係者の人件費の増加などの要因により、医療費は増え続けることが見込まれるとし、高齢者医療制度、消費税、日常的な取り組みを含め肝となるような施策についての考えを求める意見があった。

梅村氏は、後期高齢者医療制度について、「日本維新の会では、原則自己負担3割を主張している」と発言。75歳を境に自己負担額に差が生じる現状の制度について、「年齢で区切るのではなく応能負担に変えていくべきだ」との考えを示した。

合わせて、「後期高齢者医療制度をつくったのだから、高齢者に相応しい診療報酬体系が本来あるはず」と指摘し、「応能負担への転換と高齢者に相応しい診療報酬体系の構築をやり遂げることが医療保険財政にとって重要となる」と強調した。

また、かかりつけ医施策の推進や現役世代の可処分所得が伸びていない状況への対策の必要性にも言及した。

閉会のあいさつに立った健保連の鷹野英樹総務理事は、日本が抱える課題について「人口減少や財政問題、負担の問題の大きく3つがあると考えられる」と発言。そのうえで、講演を踏まえつつ、「医療や介護、薬の問題などを健保組合でも検討し、できることをやっていかねばならない」との決意を表明した。

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