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健保ニュース 2024年9月下旬号

高齢社会対策大綱を閣議決定
後期高齢者の窓口3割負担 拡大検討を改めて明示
被用者保険適用拡大も着実推進

政府は13日の閣議で、新たな高齢社会対策大綱を決定した。経済社会情勢の変化等を踏まえ、6年ぶりに見直した。

医療保険制度関係では、後期高齢・現役並み所得者の窓口3割負担の対象拡大について、現役世代の負担増や後期高齢・一定以上所得者の2割負担導入の状況に留意しつつ、令和10年度までに実施を検討する方針を改めて明示した。

新たな大綱は、高齢社会対策は高齢者を支えるための取り組みだけでなく、高齢者の割合が大きくなるなかで持続可能な社会を築いていくための取り組みと指摘。

若年世代から高齢世代までのすべての人が、それぞれの状況に応じて「支える側」にも「支えられる側」にもなれる社会をめざし、全世代が「超高齢社会」を構成する一員として、希望が持てる未来を切り拓いていくことが必要との考えを示した。

このため、▽年齢に関わりなく希望に応じて活躍し続けられる経済社会の構築▽1人暮らしの高齢者の増加等の環境変化に適切に対応し、多世代が共に安心して暮らせる社会の構築▽加齢に伴う身体・認知機能の変化に対応したきめ細かな施策展開・社会システムの構築─という基本的な考え方に沿って対策を推進するとした。

「就業・所得分野」では、働き方に中立的な年金制度の構築をめざし、さらなる被用者保険の適用拡大等に向けた検討を着実に進めると明記。

「健康・福祉分野」では、生涯にわたる健康づくりの推進として、医療保険者による特定健診・保健指導の着実な実施やデータヘルス計画に沿った取り組み等、加入者の予防健康づくりの取り組みを推進していく対応を盛り込んだ。

さらに、政府が5年12月22日に閣議決定した「全世代型社会保障構築をめざす改革の道筋(改革工程)」で、後期高齢者の窓口3割負担(「現役並み所得」)の判断基準見直しについて10年度までに実施を検討するとされていることを踏まえ、現役世代の負担が増加することや、4年10月に施行された後期高齢者医療制度における窓口負担割合の見直しの施行状況等に留意しつつ、検討を進める方針を改めて示した。

他方、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセスであるACP(アドバンス・ケア・プランニング)について、患者の相談に適切に対応できる人材の育成等による体制整備を行うとともに、国民向けの情報提供・普及啓発を推進するとした。

「学習・社会参加」では、マイナンバー制度は、より公平・公正な社会保障制度や税制の基盤であるとともに、情報社会のインフラとして国民の利便性向上や行政効率化に資するものであるとして、一般国民向け広報と民間事業者向け広報を総合的に展開し、理解促進を図る対応を盛り込んだ。

岸田文雄首相は、同日の閣議に先立ち開催された高齢社会対策会議で、全世代が超高齢社会を構成する一員として支え合い、希望が持てる未来を切り拓けるよう、高齢社会対策大綱を指針として施策を着実に実施するよう関係大臣に指示した。

なお、大綱については、政府の高齢社会対策の指針としての性格に鑑み、経済社会情勢の変化等を踏まえて概ね5年を目途に必要があると認める時に見直しを行うとした。

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