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健保ニュース 2024年9月中旬号

令和6年版厚生労働白書
こころの健康主題 健やかに暮らせる社会実現

厚生労働省は8月27日の閣議で、「令和6年版厚生労働白書」を報告した。

近年、精神疾患の外来患者数が増加傾向にあることや、自殺者数が年間2万人を上回っている現状から、「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」をテーマとして掲げた。

現代社会のストレス要因の多様性について、▽ライフステージごとのライフイベント▽こころの健康が損なわれることによる影響─などの観点から考察したうえで、こころの健康に関する対策や支援の現状、今後の方向性を示した。

ライフステージにおけるストレスとして、「家族との死別」などの大きなライフイベントは大きなストレスとなり、こころの不調の要因となる一方、良いことに思えるライフイベントも受け止める人によりストレスの性質や、その影響も個々人によって異なると指摘。

同じライフステージにあっても、好ましくない環境や状況に置かれてしまう人ほどこころの不調をきたしやすく、そのようなリスクはライフステージの全般にわたって存在するとの考えを示した。

また、「総合的な健康状態にとって最もリスクとなること」について、「精神病を引き起こすようなストレス」を選んだ人の割合は、2014年の11.0%から2024年に15.6%へ増加している調査結果から、「総合的な健康リスクに関する人々の認識が、身体に対するリスクから、こころに対するリスクに少しずつシフトしている可能性を示唆している」と分析した。

一方で、こころの健康が損なわれることの影響は、本人や家族はもとより、社会の中にも様々な形で現れると問題提起。

仕事が原因で精神障害を患ったとして労災保険の請求が行われた件数は、平成24年度の1257件に対し、令和4年度は2683件と10年間で2倍以上も伸びている現状を示した。

また、全国健康保険協会が4年度に取りまとめた「健康保険現金給付受給者状況調査報告」の4年10月時点における傷病手当金受給者の傷病別・性別件数の構成割合によると、「精神及び行動の障害」は18.11%で、新型コロナを含む特殊目的用コードを除くと受給原因となる傷病として最も多いと指摘した。

厚労白書は、こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会の実現に向けて、▽社会の一員として、こころの健康と社会とのつながりについて理解を深め、自らのこころの健康とともに、隣人のこころの健康にも留意しつつ社会生活を営む▽共生社会の実現に向け、こころの不調を抱える人々の自己決定を支え、その幅を広げていく取り組みを推し進める─ことが必要と明記。

そのうえで、「こころの健康と向き合うことは、一人ひとりが、その価値の普遍性と、その価値を社会に実装していくことの重要性に向き合うこと」と強調した。

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