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健保ニュース 2024年9月上旬号

令和4年度国保財政状況
実質収支1067億円の赤字

厚生労働省は8月8日、令和4年度国民健康保険の財政状況を公表した。決算補填等目的の一般会計繰入金を除いた場合の精算後単年度収支差引額は1067億円の赤字で、前年度から1000億円悪化。2年連続で赤字を計上した。

4年度は、被保険者の減少が1人当たり保険給付費の伸び率を上回ったことなどにより、保険給付費が前年度に比べ1.5%、1338億円減少し8兆6244円となったものの、被保険者数の減少等の要因により、保険料・税収入などの科目も減少する結果となった。

国保の被保険者数は、▽2年度末の伸び率は前年度比▲1.5%▽3年度末の伸び率は同▲3.1%▽4年度末の伸び率は同▲4.9%─。4年度の被保険者数は2413万人となっている。

財政状況は、都道府県単位化を踏まえ、市町村と都道府県の国保別会計の合算額を計上した。

医療分と介護分を合わせた単年度の収入額は、合計23兆5187億円(前年度比2.0%減)だった。このうち保険料・税収入は、同2.0%減の2兆4513億円となった。

1人当たり保険料調定額は、9万9378円(同2.3%増)で、平成22年度以降最も高い金額となった。現年度分の保険料収納率は、同0.10ポイント減の94.14%だった。なお、介護分を除く医療給付分に相当する保険料・税収入は、同2.2%減の2兆2478億円となっている。

厚労省は、▽新型コロナウイルス感染症により収入が減少した者に対する保険料減免の対象者の減少▽被保険者数に占める収納率が高い前期高齢者の割合の減少─等を保険料収納率のマイナス要因として列挙。そのうえで、保険者努力支援制度で保険料収納対策の取り組みを評価対象としていることにより、保険者において取り組みが確実に行われた結果、一定規模の減少に抑えられたと考察した。

前期高齢者交付金は、保険料・税収入や国庫支出金を上回る3兆5397億円で同6.6%減少した。令和5年度までで廃止が決まっている退職者医療制度における療養給付費等交付金は、3年度の0億円から同1億円増となった。

一方、単年度支出額は合計23兆6379億円(同1.7%減)を計上。このうち、保険給付費は同1.5%(1338億円)減の8兆6244億円で、厚労省は、保険給付費の減少について、被保険者の減少が1人当たり保険給付費の伸び率を上回ったことが主な要因と分析した。1人当たり保険給付費は34万3642円で同2.3%増加した。

後期高齢者支援金は同2.9%減の1兆5082億円、介護納付金は同0.5%増の5863億円となった。

収支総額から基金繰入金や繰越金、基金積立金や前年度繰上充用金などを除いた単年度収支差引額は、1192億円の赤字を計上。ここから国庫支出金を精算し、決算補填などのための法定外一般会計繰入金を除いた実質収支は、前年度の67億円の赤字から1000億円悪化し、1067億円の赤字となった。

保険者別の収支状況は、赤字の保険者が都道府県で33保険者(全体の70%)、市町村で938保険者(同55%)となっており、赤字の市町村が半数を超えた。このうち、3年度は黒字で4年度に赤字に転じた保険者数は、都道府県が8保険者、市町村が466保険者だった。

4年度市町村国保の収入のうち、法定外の一般会計繰入金は1439億円で同12.3%、158億円増加した。内訳は、決算補填等目的分が同74億円増の748億円、それ以外の目的分は691億円となっている。

計画的に削減・解消すべき対象とされる決算補填等目的分の内容は、▽保険料の負担緩和699億円(同70億円増)▽累積赤字補填11億円(同6億円減)▽保険料の収納不足17億円(同11億円増)─などとなっている。

こども医療費などへの独自助成や災害などによる保険料減免など削減・解消の対象といえない決算補填等目的以外では、地方単独事業の医療給付費波及増等に220億円、保健事業に179億円、保険料減免に80億円などを充てた。

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