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健保ニュース 2024年9月上旬号

全国統一システム医療情報ネット
幸野参与 利用者視点の環境整備を

「国民・患者に対するかかりつけ医機能をはじめとする医療情報の提供等に関する検討会」のもとに設置した「医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会」(座長・尾形裕也九州大学名誉教授)は8月22日、障害のある方に関する医療機能情報提供制度の報告項目の見直しなどについて議論した。

この日の会合では、厚生労働省が▽医療機能情報提供制度▽医療に関する広告規制▽専門医に関する広告─を議題として提示。

医療機能情報提供制度では、①「かかりつけ医機能報告」の報告事項および国民・患者への情報提供の取り扱い②全国統一システム医療情報ネット「ナビイ」の運用状況③障害のある方に対するかかりつけ医機能─について報告した。

②では、令和6年4~6月のナビイにおける「ページを閲覧した回数(PV数)」および「訪問者数(ユニーク)」を紹介。

6月は、▽1週目はPV数が174万4843回、訪問者数が10万3301人▽2週目は同192万1824回、同9万5407人▽3週目は同148万2377回、同10万6399人▽4週目が179万2674回、11万8233人─だった。

合わせて、厚労省は、6年8月1日時点の医療機能情報提供制度における5年度定期報告率(病院、診療所、歯科診療所および助産所の合計)を提示。全国平均は73.5%で、秋田、徳島、佐賀、熊本が100%に達した一方、京都(29.3%)と沖縄(27.3%)は30%に満たない結果となった。

また、厚労省は、③の報告を踏まえ、「障害のある方に関する医療機能情報提供制度の報告項目の見直し(案)」を示し、障害者団体・関係団体との意見交換等を踏まえ、医療機能情報提供制度の報告項目の追加・修正等を行うことを提案。追加・修正した項目は、障害児・者に関連する項目として、基本的には、ナビイのトップページにおける「障害児・者、難病患者」の利用者区分の検索条件ページに位置づける方針を示した。

構成員から反対意見はなく、今回提示された方向で引き続き検討を進めることとした。
 健保連の幸野庄司参与は、①について、「かかりつけ医機能報告で報告を求める内容はすべてナビイに反映させることが基本だ」と発言。

専門用語の多い報告内容を国民が理解しやすい形に翻訳して提供することが重要との認識を示したうえで、「患者と医師の認識の一致が大切だ」と強調した。

他方、ナビイの運用については、「多くの国民が日常的にアクセスする環境を整備してほしい」と要望。

ナビイのスマートフォンアプリの開発や、マイナポータルおよび保険者の運用するサイトへリンクを記載するなど、多くの国民が医療情報ネットに慣れていくための環境整備が重要との考えを示した。

このほか、医療機能情報提供制度における5年度定期報告率について、「かかりつけ医機能報告制度が開始される来年4月以降、病院・診療所からの報告率が100%となることは不可欠だ」と指摘。厚労省に対し、改めて都道府県への周知徹底を図るよう求めた。

山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、①の報告を受け、ナビイに対して患者がかかりつけ医機能に興味や関心を持てるような工夫を凝らすよう要請。利用者視点でナビイの改修を進めていくよう求めた。

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