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健保ニュース 2024年8月下旬号

伊原事務次官が就任会見
最重要テーマ 医療提供体制の強化

厚生労働省の伊原和人事務次官は1日に開催された専門誌記者クラブとの就任会見で、全世代型社会保障制度の構築など、厚生労働行政の課題について語った。

就任に当たっての抱負として、「これからの時代、人口減少により社会保障や労働政策の担い手がいなくなるなかで国民生活を守っていかねばならない」と言及し、「チャレンジする」ことを組織運営上の大切なテーマに、新しい知恵や発想による政策立案を応援していきたいとの意欲を示した。

全世代型社会保障制度の構築に向けては、「骨太方針2024」に盛り込まれた、社会保障における歳出改革や医療提供体制改革の具体化を年末に向けた課題に位置づけ、具体的な議論を進めていくとした。

合わせて、「制度の変化を踏まえて社会保障の将来見通しを示すことが、全世代型社会保障の姿を国民に分かりやすく情報提供するための課題だ」と発言。

「給付と負担の見直し」について整理することにより、高齢化がピークを迎え生産年齢人口が急減する2040年に向け、社会保障の規模や負担などの材料を示すことができると説明した。

昨年末に閣議決定された社会保障の 「改革工程」については、「骨太方針2024」で、医療・介護保険等の改革として「各種医療保険制度における総合的な検討を進める」とされたことを踏まえ、「いずれも重要なテーマで、それぞれ検討したうえで優先順位をつけていくことになる」との見通しを示した。

「骨太方針2024」では、社会保障の歳出抑制が求められている一方、少子化対策における「子ども・子育て支援金」は医療保険に財源を求める形となっていることについては、「令和10年までに医療保険のルートで新たに1兆円を捻出するなかで、社会保障の改革工程にある項目のみに縛られず、それ以外の項目についても検討しなければならない」と言及。

合わせて、年末の予算編成については、改革工程の項目を踏まえつつ、与党と相談のうえ決定していく考えを示した。

政府のデジタル行政改革会議の「取りまとめ2024」に拡充することが盛り込まれた、電子処方箋やリフィル処方箋、オンライン診療等については、「当たり前にそのような医療システムが使われることが必要」と強調。

わが国が人口減少に直面するなかで、医療・介護の分野では、電子化や省力化を徹底しなくてはならないと指摘し、「特に医療分野では、マイナ保険証がその入り口になる」と述べた。

マイナ保険証で医療機関を受診することにより、重複投薬や併用禁忌の防止、医療機関の窓口業務の効率化などが実現することへ期待を寄せた。

また、実際に新たな仕組みを利用し、利便性を実感してもらうことが国民の理解および医療現場の効率化につながると指摘。

特に、リフィル処方箋については「多くの国民に知ってもらう必要がある」とアピールし、「選択肢の1つとして患者に知ってもらうことで、通院頻度の低減など、利便性の向上につながる」との認識を示した。

厚労行政における最大の課題として「人口減少」を挙げたうえで、「医療提供体制の強化が最も重要なテーマだ」と強調。「なんとしても地域ごとに必要な医療を提供する仕組みを構築しなくてはならない」と危機感を露わにした。

特に医師偏在が切実な課題とし、地域ごとに必要な医師を確保するためには、医療提供体制の改革のみならず、医療保険側からの従来以上の工夫が必要になるとの考えを示した。

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