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健保ニュース 2024年8月下旬号

高齢社会対策大綱策定へ報告書
持続可能な社会構築へ 全世代で超高齢社会を構成
ACPの理解増進など提言

内閣府の「高齢社会対策大綱の策定のための検討会(柳川範之座長)」は5日、今後の高齢社会対策の推進に当たっての基本姿勢や、重点的に取り組むべき施策等を盛り込んだ「報告書」を了承した。

これを受け政府は、今夏を目途に「高齢社会対策大綱」を策定し、閣議決定する。

現行の高齢社会対策大綱(平成30年2月16日閣議決定)は、「経済社会情勢の変化等を踏まえておおむね5年を目途に必要があると認めるときに、見直しを行うもの」と明記。

高齢社会対策会議で新たな大綱の案の作成を行うことが決定されたことを踏まえ、有識者により構成される「高齢社会対策大綱の策定のための検討会」を開催し、議論してきた。

「報告書」は、高齢社会対策は高齢期の人を支えるための取り組みだけでなく、高齢期の人の割合が大きくなるなかで持続可能な社会を築いていくための取り組みと提言。

年齢によって分け隔てられることなく、若年世代から高齢世代までのすべての人が、それぞれの状況に応じて「支える側」にも「支えられる側」にもなれる社会をめざし、全世代が「超高齢社会」を構成する一員として希望が持てる未来を切り拓いていくことが必要との考えを示した。

そのうえで、①年齢にかかわりなく、希望に応じて活躍し続けられる経済社会の構築②高齢期の1人暮らしの人の増加等の環境変化に適切に対応し、多世代が共に安心して暮らせる社会の構築③加齢に伴う身体機能・認知機能の変化に対応したきめ細かな施策展開・社会システムの構築─を高齢社会対策の基本的方向性に位置づけた。

このうち、①は、仕事をしている60歳以上の人で、「働けるうちはいつまでも」との回答が約4割、「70歳くらいまで、またはそれ以上まで働き続けたい」との回答を合計すると約9割に上る現状に対し、在職老齢年金制度は就労促進等の観点からの見直しの検討が必要と指摘。

今後、高齢期でも働き続ける人の増加が見込まれるなかで、働き方の多様化に応じた年金制度への見直しの検討を進めていくべきと提言した。

また、②は、▽医療・介護の複合ニーズが高まる85歳以上人口は増加を続け、2060年には1170万人となる見込み▽2040年度にはさらに57万人の介護職員の確保が必要と見込まれる─などの現状に対し、▽在宅医療や訪問介護の質・量両面でのさらなる充実を含めた地域包括ケアシステムの構築を一層推進▽さらなる処遇改善や仕事の魅力向上を通じた介護人材確保の促進▽介護ロボット等テクノロジーを活用した介護現場の業務効率化や新技術の評価等を行う環境整備─などの取り組みを示した。

さらに、患者の希望に最大限沿った医療およびケアを受けることができる社会を築くため、人生の最終段階で受ける医療やケアについて、本人や家族等身近な人、医療従事者が事前に繰り返し話し合い、共有する取り組みであるACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性について、広く理解の増進や啓発を図るべきと提言。

その際は、効果的なタイミングでACPを開始できるよう、通院・入院を始めたタイミングや要介護認定を受けるまで、可能な場合は壮年期からなど、早めに開始することを周知すべきと明記した。

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