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健保ニュース 2024年8月合併号

保険者の健診・保健指導検討会
第4期下期加算・減算 見直し方針案を了承
加算は縮小・減算上位表彰へ

「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(座長・津下一代女子栄養大学特任教授)は、7月2日に持ち回り開催し、後期高齢者支援金の加算・減算制度の第4期下期からの見直し方針案について了承した。

厚労省は、2027年度にスタートする第4期下期から、後期高齢者支援金の加算・減算制度の柱となる①加算基準②減算基準・総合評価指標─を見直す方針を示した。

①は、見直しの方向性として、特定健診・保健指導実施率が「著しく低い保険者」を対象に、ペナルティとしての加算を行うことを提案。加算該当となる基準を、▽特定健診50%未満▽保健指導2.5%未満─に設定する方針案を示した。

現行の基準では、加算該当となる特定健診・保健指導の実施率は、過去の実績を踏まえて国が毎年度設定して公表。「単一健保」「総合健保・私学共済」「共済組合」といった種別ごとの加算基準に対し、保険者の実績が一定未満だった場合に、実施率に応じた加算率が適用される。

一方、見直し方針案は、種別ごとの加算基準を廃止し、一律に最大の加算率10%を適用する。これに合わせて、加算率1%となった場合、総合評価の大項目26で重点項目を1つ以上達成していれば加算除外となる要件の廃止案も提示した。

厚労省は、新制度移行により加算該当となる保険者数を2021年度実績ベースで試算。それによると、「特定健診50%未満」には、▽単一1組合▽総合1組合▽共済0組合─。「保健指導2.5%未満」には、▽単一21組合▽総合8組合▽共済0組合─の保険者が該当する見込みとなる。

②は、①により加算規模が縮小するため、減算対象保険者のなかで段階は設けず、加算の規模に応じて定率の減算額を設定することを見直しの方向性として示した。特定健診・保健指導実施率と総合評価指標を用いて、上位の保険者を減算対象とする現行の運用は継続する。

これを踏まえ、減算要件を、現行の「総合評価指標の合計点数上位20%に該当し、かつ総合評価指標の必須項目4つをすべて満たすこと」から、「総合評価指標の合計点数上位100組合に該当し、かつ総合評価指標の必須項目をすべて満たすこと」に見直す。

また、総合評価指標で合計点数が上位100組合の保険者を表彰する表彰制度を創設し、減算のインセンティブを強化する。

保険者種別ごとに上位の保険者や先進的な取り組みを行っている保険者を表彰。トライアルとして、「日本健康会議2024」での表彰を検討しているとした。なお、上位の保険者の公表は引き続き実施する。

今回提示された見直しの方針案には、同検討会や「後期高齢者支援金の加算・減算制度検討WG」におけるこれまでの主要な意見が盛り込まれた。

厚労省は、「一定の方向性が了承された」とする一方、「見直し方針案は、あくまでも一案であり、現時点で基準値を確定させているものではない」と留意を求めた。「特に、実施率が「著しく低い保険者」をどういった基準で判断するかなど、具体的な内容については、今年度から次年度にかけ、慎重に検討を進めていく」としている。

第4期上期の評価指標に
項目を追加・配点見直し

合わせて、同検討会は、2024年度および2025年度以降の総合評価指標の見直しについて了承した。

厚生労働省は、2024年度に導入する見直しとして、総合評価指標の大項目3「予防・健康づくりの体制整備」にマイナ保険証利用率の項目を追加(配点5~10点)することを提案した。

保険者によるマイナ保険証利用促進の取り組みとして、2024年1月25日付で発出した厚労省通知にもとづく。今年度(2024年度)の取り組み実績を2025年度で評価。なお、減算対象になるための加点項目として位置づけており、重点項目や必須項目とはならない。

また、2025年度以降に導入する見直しとして、「健康保険法にもとづく保健事業の実施等に関する指針」(2023年9月改正)で「今後重点的に実施すべき保健事業」に追記された、①女性特有の健康課題への支援等の性差に応じた健康支援②ロコモティブシンドローム対策③重複投薬・多剤投与対策─に関連する取り組みを総合評価指標に新設することを提案した。

このほか、④こどもにとってより良い医療の在り方⑤デジタル活用の推進に関する保険者の取り組み─を新設。④は、社会保障審議会医療保険部会(2023年9月7日開催)で、子どもの適切な受診を促すための周知・啓発の取り組みなどへの保険者インセンティブの導入が了承されている。

また、評価項目の新設とともに、配点の見直し・比重変更にも着手する。
 厚労省は、「第4期特定健診・保健指導の開始に伴い、アウトカム指標の重要性が高まっていく」として、総合評価指標における特定健診・保健指導実施率に関する配点を相対的に引き下げ、他の項目の配点を引き上げる方針を示した。

具体的には、大項目2「特定健診・特定保健指導の実施率」の配点を現行「10~50点」から見直し後「5~10点」に引き下げ、小項目ごとの最大配点が10点以下となるよう新設項目および既存の評価項目に振り分ける。

新設項目は、▽デジタル活用促進6点▽PHRの体制整備6点▽重複投薬・多剤投与対策3点▽こどもにとってより良い医療の在り方、性差に応じた健康支援、ロコモティブシンドローム対策に各5点─となる。

2025年度導入をめざしており、2026年度の報告をベースに評価する。

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