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健保ニュース 2024年8月合併号

特別給付の対象者や財源など
産科医療検討委 「報告書」取りまとめ

日本医療機能評価機構の産科医療特別給付事業・事業設計検討委員会(委員長・柴田雅人前一般財団法人日本民間公益活動連携機構専務理事)は7月16日、本年3月から5回にわたる検討の結果を整理した「報告書」を取りまとめた。

「報告書」は、令和4年1月の産科医療補償制度の補償対象基準の見直しにより廃止された個別審査で補償対象外となった児等が、4年1月改定基準に相当する給付対象の基準を満たす場合、特別給付金を特例的に給付する「特別給付事業」の内容を整理。

①特別給付事業の基本的な考え方(目的)②特別給付の対象となる者③審査④給付⑤原因分析の考え方⑥体制⑦財源⑧周知に関する基本的な考え方─などを盛り込んだ。

このうち、②は、平成21年以降26年末日までに、▽在胎週数28週以上33週未満で出生し脳性麻痺になった児または在胎週数33週以上かつ2000g未満で出生し脳性麻痺になった児▽27年以降令和3年末日までに在胎週数28週以上32週未満で出生し脳性麻痺になった児または在胎週数32週以上かつ1400g未満で出生し脳性麻痺になった児─を給付対象基準とすると明記。

給付対象基準と合わせて、除外基準(先天性要因および新生児期の要因によらない脳性麻痺)と重症度の基準(身体障害者障害程度等級1級または2級相当の脳性麻痺)の要件をすべて満たす場合、特別給付の対象となることとした。

④は、状況の早期解決を図るため、特別給付の対象者に1200万円を給付するとした。

⑦は、平成21年~30年の10年間の補償対象者数などにもとづき、第三者の立場の専門家が給付対象者数を推計。5年間で計1627人(推定区間847~2680人)になると見通した。

予算額については、給付金の最大値(2680人×1200万円)に事務経費約25億円を加えた350億円程度を見込む。

特別給付金や給付にかかる事務経費等の財源については、関係者の理解を得て、産科医療補償制度の剰余金を活用すると明記。

剰余金の活用に伴い、将来の妊産婦の掛金相当分の負担軽減期間が短縮することについては、令和8年を目途に政府が予定している「出産育児一時金の在り方の検討」を1つの目処として、必要な検討を行うこととした。

⑧では、産科医療関係者をはじめ、行政機関、団体などの多方面の支援により、産科医療補償制度の周知を行っていることを踏まえ、特別給付事業においても産科医療補償制度と同様の周知を行うこととした。

健保連の河本滋史専務理事は、⑦について、「剰余金の減少は将来の妊産婦の負担増につながるため、エビデンスにもとづく適正な審査を実施してほしい」と発言し、事務経費についても、最も経済的かつ合理的なものとなるよう求めた。

他方、8年の「出産育児一時金の在り方の検討」を目処に行う必要な検討については、「掛け金をどうするのかという問題と合わせた、産科医療補償制度そのものについての根本的な議論が必要」との考えを示した。

池田俊明委員(国民健康保険中央会常務理事)は、⑧について、「特別給付事業は産科医療補償制度の剰余金を活用するため、保険者などの関係者の理解を得て進めることが大切」と発言。同事業の進捗状況を、適宜適切なタイミングで保険者に報告するよう求めた。

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