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健保ニュース 2024年8月合併号

6年度の支援金等負担金助成事業
健保助成額 前年度比292億円増
「賃上げ分」新設で負担抑制

厚生労働省は7月30日付で、高齢者医療への過重な拠出金負担増を緩和する令和6年度高齢者医療支援金等負担金助成事業の算定基準など取扱要領を定め、保険局高齢者医療課長から健保組合理事長あてに通知した。

5年5月の通常国会で成立した「医療保険制度改革関連法」に伴う企業の負担増を勘案し、6年度から特例的に健保組合への国費による支援として430億円が追加計上された。

このうち企業の賃上げ努力を促進する観点から、230億円を同事業に充当し、予算規模(5年度:720億円)を拡充した。

6年度の見直しについては、2025年に団塊の世代がすべて後期高齢者に移行することを踏まえ、前期高齢者納付金に限らず、後期高齢者支援金も含めた拠出金負担全体に着目する形で現行の補助メニューを再編し、いわゆる新規分と急増分を統合した。新たに拡充される230億円については、賃上げ等により一定以上報酬水準が引き上がった健保組合に対する補助を創設した。

令和6年度は、▽既存分▽新規分▽賃上げ分─の3区分で助成。
 それぞれのメニューの見直しについては「既存分」は、昨年度までの助成要件のうち、「被保険者1人当たり総報酬額が健保組合平均未満」については、健保組合と共済組合の位置づけの違いなどを踏まえ、「被保険者1人当たり総報酬額が健保組合は健保組合平均未満、共済組合は共済組合平均未満の保険者を対象」とした。

「新規分」は、2025年までに団塊の世代が前期高齢者から後期高齢者となることを踏まえ、後期高齢者支援金の伸びにも着目し、昨年度までの助成要件の前期高齢者納付金に加えて後期高齢者支援金を追加した。

また、財政力に応じた財政支援を行うこととし、①「被保険者1人当たり総報酬額が健保組合は健保組合平均未満、共済組合は共済組合平均未満」②「被保険者1人当たり総報酬額が健保組合は健保組合平均以上、共済組合は共済組合平均以上」の2つの区分を設定し、被保険者1人当たり総報酬額が平均未満の保険者には助成率を上乗せすることとした。

令和6年度事業規模は、予算額950.4億円から旧給付費等臨時補助金分7.9億円を除いた約942.5億円。内訳は▽既存分:約120.4億円(前年度比同額)▽新規分:約592.1億円(前年度「新規分」+「急増分」合計比7.6億円減)▽賃上げ分:230億円(6年度から新設)─。

このうち、健保組合の助成額は全体で、前年度から292億円増の857億円。内訳は▽既存分:95億円(前年度比3億円減)▽新規分:532億円(前年度「新規分」+「急増分」合計比65億円増)▽賃上げ分:230億円─となる。

事業全体の助成対象は、共済組合を含めて合計1145保険者で、このうち健保組合は1113組合(前年度1043組合)が該当した。内訳は▽既存分:201組合▽新規分:904組合▽賃上げ分:586組合(既存分と新規分の重複は考慮していない)─。

厚労省は、通知発出後、対象組合から申請受付を開始し、11月に交付決定の通知、12月に対象組合への交付を予定している。

助成の中身は、▽総報酬に占める前期高齢者納付金負担の重さ(所要保険料率)に着目し、所要保険料率に応じて助成する「既存分」▽加入者1人当たり拠出金の平成23年度から令和6年度の伸びに着目し、拠出金の伸び率に応じて助成する「新規分」▽「加入者1人当たり拠出金」が対前年度比で増加しており、かつ「被保険者1人当たり総報酬額」が対前年度比で増加している健保組合の、5年度から6年度の拠出金の伸びに着目し、拠出金の伸び率に応じて助成する「賃上げ分」─の3つの柱としている。

新規分、既存分の優先順位で助成し、賃上げ分は独立して助成する。
 「既存分」は、6年度の所要保険料率が健保組合平均(約1.52%)の1.1倍を超える部分を助成対象とし、被保険者1人当たり総報酬額が健保組合は健保組合平均(603.6万円)未満、共済組合は共済組合平均(558.1万円)未満となる保険者を助成対象とする。

対象保険者の所要保険料率に応じて、1.52%の▽1.3倍を超える部分に80%(前年度60%)▽1.2倍超1.3倍以下の部分に50%(同30%)▽1.1倍超1.2倍以下の部分に約39.24%(同約16.48%)─の助成率を設定する。

前年度の基準から1.3倍超と1.2倍超1.3倍以下の部分は20ポイント、1.1倍超1.2倍以下の部分は22.76ポイントをそれぞれ引き上げた。

「新規分」は、加入者1人当たり拠出金の平成23年度から令和6年度の伸び率が1.35倍を超える部分を助成対象とする。

伸び率の算出に当たっては、単に拠出金負担の伸び率に応じて助成した場合、後期高齢者支援金への全面総報酬割導入、前期高齢者納付金への報酬調整導入といった制度見直しによる影響が大きく出ることから、伸び率算出の足元年度である平成23年度の拠出金額について、そうした制度見直しが行われていたとすれば負担していた額を推計している。

財政力に応じた財政支援を行うこととし、①被保険者1人当たり総報酬額が健保組合は健保組合平均未満、共済組合は共済組合平均未満の保険者は、加入者1人当たり拠出金の伸び率が、▽2.3倍超の部分に60%▽2.0倍超2.3倍以下の部分に50%▽1.7倍超2.0倍以下の部分に40%▽1.35倍超1.7倍以下の部分に20%─を助成する。

他方、②被保険者1人当たり総報酬額が健保組合は健保組合平均以上、共済組合は共済組合平均以上の保険者は、加入者1人当たり拠出金の伸び率が、▽2.3倍超の部分に50%▽2.0倍超2.3倍以下の部分に40%▽1.7倍超2.0倍以下の部分に30%▽1.35倍超1.7倍以下の部分に13.48%─を助成する。

比較の起点とする23年度の拠出金は、単年度による負担の偏りを均すため、22年度と23年度の2年度平均とする。

23年4月1日以降に設立した健保組合は、令和6年度までの伸び率が設定できないため、5年度の所要保険料率が健保組合平均の3.85%以上を要件に拠出金の0.5%相当額を助成する。所要保険料率が全健保組合の下位3%(2.871%)に該当する保険者は対象外とした。

「賃上げ分」は、加入者1人当たり拠出金の5年度から6年度の伸び率が1.0倍を超える部分を助成対象とする。

①被保険者1人当たり総報酬額が健保組合平均未満かつ前年度比で伸びている健保組合は、加入者1人当たり拠出金の伸びが▽1.2倍超に60%▽1.1倍超~1.2倍以下に50%▽1.0倍超~1.1倍以下に40%─を助成する。

他方、②被保険者1人当たり総報酬額が健保組合平均以上かつ被保険者1人当たり総報酬額の伸びが1.5%以上の健保組合は、加入者1人当たり拠出金の伸びが▽1.2倍超に40%▽1.1倍超~1.2倍以下に30%▽1.0倍超~1.1倍以下に19.51%─を助成する。

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