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健保ニュース 2024年8月合併号

7年度予算概算要求基準を閣議了解
社会保障費 自然増は4100億円
少子化策などに重要推進枠

政府は7月29日の臨時閣議で、「令和7年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」を了解した。

「骨太方針2024」にもとづき、経済・財政一体改革を推進する。重要政策の選択肢を狭めることなく、歳出全般にわたり施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化する方針を示した。

医療や年金などの社会保障に関する国庫負担は、自然増として令和6年度当初予算から4100億円の上積みを認めたうえで、増加額に対し、「新経済・財政再生計画 改革工程表」および「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」に沿って着実に改革を実行していくことを含め合理化・効率化に最大限取り組み、高齢化による増加分に相当する伸びにおさめた結果を7年度予算に反映する。

6年度予算では、高齢化に伴う自然増を5200億円程度と見込んだうえで、▽薬価等改定・薬価制度改革(▲1300億円程度)▽前期高齢者納付金の報酬調整(▲1300億円程度)▽被用者保険の適用拡大(▲100億円程度)─などの制度改革・効率化によりトリプル改定等とのプラス分と差し引きで▲1400億円程度を合理化・効率化し、社会保障関係費の実質的な伸びを3700億円程度に抑制した。

一方、7年度予算は、高齢者人口の伸びが鈍化するなどの影響で、高齢化に伴う自然増を前年度比1100億円減の4100億円と見込んだ。

「わが国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」第1条第3項に規定する「防衛力整備計画対象経費」は、「防衛力整備計画」を踏まえ、所要の額を要求することとした。

「こども未来戦略」で示された「こども・子育て支援加速化プラン」の施策は、同戦略にもとづいて要求。地方交付税交付金等については、「経済・財政新生計画」との整合性に留意しつつ要求する。

「義務的経費」は、前年度当初予算額の範囲内で要求。義務的経費を削減した場合には、同額を「裁量的経費」で要求可能とする。7年度の参議院議員通常選挙に必要な経費等の増減については加減算することとした。

「その他の経費」は、前年度当初予算額を1割削減する「要望基礎額」の範囲内で要求する。

さらに、「骨太方針2024」、「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画2024改訂版」等を踏まえ、▽持続的・構造的賃上げの実現▽官民連携による投資の拡大▽少子化対策・こども政策の抜本的強化を含めた新たなステージへの移行に向けた取り組みの加速▽防衛力の抜本的強化を始めとしたわが国を取り巻く環境変化への対応─などの課題に対応するための「重要政策推進枠」を措置。

各省大臣は、前年度当初予算における「その他の経費」に相当する額と「要望基礎額」の差額を3倍した額および「義務的経費」が前年度当初予算の額を下回る場合の差額を3倍した額の範囲内で要望する。

前年度と同様、8月末日を要求・要望期限とした。
 要求・要望は、施策・制度の抜本的見直しや各経費間の優先順位の厳しい選択を行うことにより、真に必要なニーズを精査する。

また、要求・要望は賃金や調達価格の上昇を踏まえて行い、予算編成過程で適切に反映。そのうえで、物価高騰対策、賃上げ促進環境整備対応等を含めた重要政策は、必要に応じ、「重要政策推進枠」や金額を明示しない形の「事項要求」も含め適切に要求・要望を行う。

予算編成過程で検討を加え、「骨太方針2024」で示された方針を踏まえ措置するとした。

真に必要な財政需要の増加に対応するため、制度改革により恒久的な歳入増を確保する場合、歳出改革の取り組みに当たって、その取り扱いは予算編成過程で検討する。

消費税率引き上げに伴う社会保障の充実、子育て層支援・介護人材の確保などについては、前年度当初予算の例にもとづき所要額を要求するものとし、その対前年度からの増加の取扱いも予算編成過程で検討することとした。

岸田文雄首相は、臨時閣議に先立ち7月26日に開催された政府与党政策懇談会で、「経済あっての財政との経済財政運営の基本姿勢のもと、経済成長と財政健全化をともに進めていくため、こうした重要かつ困難な課題にしっかりと対応しつつ、これまでの歳出改革努力を継続していくことも重要」と言及。

7年度予算の概算要求基準は、こうした方針に沿ったものとの認識を示し、与党幹部および関係閣僚に協力を要請した。

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