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健保ニュース 2024年7月下旬号

協会けんぽ令和5年度決算見込み
14年連続黒字計上 収支差4662億円に拡大
準備金5.2兆円で5.95月分

全国健康保険協会(北川博康理事長)は5日、協会けんぽの令和5年度決算見込みを公表した。

収入総額は11兆6104億円(前年度比2.7%増)、支出総額は11兆1442億円(同2.5%増)で、収支差は4662億円の単年度黒字を計上。準備金残高は5兆2076億円と過去最高を更新した。

収入・支出とも協会けんぽの発足以来、最も高い金額となった。
 収支差は、前年度から343億円増加し、14年連続の黒字を計上した。

5年度末時点の準備金残高は、保険給付費等に要する費用の5.95か月分相当に拡大した。
 全国健康保険協会は5年度決算見込みについて、保険料収入の増加が、保険給付費や後期高齢者支援金等による支出の増加を上回ったことから、単年度収支差は前年度に比べ増加しているが、前年度の国庫補助の精算等が影響(その他支出が前年度比683億円の減など)していると説明。

協会けんぽの今後の財政について、団塊の世代が後期高齢者になることによる後期高齢者支援金の短期的な急増が見込まれ、その後も中長期的に高い負担額で推移することが見込まれることや、協会けんぽ加入者の平均年齢上昇、医療の高度化等による保険給付費の継続的な増加が見込まれることなどを踏まえると「楽観を許さない状況」と総括した。

賃金の増加等を主因に
収入が3011億円増

収入は、保険料収入10兆2998億円、国庫補助等1兆2874億円、その他が233億円の総額11兆6104億円で、前年度と比べ3011億円の増収となった。

増収の要因として、賃金(標準報酬月額や標準賞与額の平均)の増加などにより保険料収入が前年度に比べ2.6%増えたことがあげられた。令和4年10月の制度改正で業態が公務である短時間労働者が共済組合に移行し、報酬水準の低い被保険者が減少。平均標準報酬月額は、前年度比2.0%増の30万4077円に上振れした。

保険給付費等が対象となる国庫補助等は前年度と比べ418億円増加しており、このうち約30億円は5年度限りの「出産育児一時金補助金」となっている。

加入者数は減少も
医療給付費は4.1%増

支出は、保険給付費7兆1512億円、拠出金等3兆7224億円、その他2705億円の総額11兆1442億円で、前年度から2688億円の増加となった。

保険給付費が前年度に比べ2.9%増加した要因として、加入者1人当たりの医療給付費が増加したことがあげられた。

加入者数は減少したものの、新型コロナウイルス感染症の流行により減少していた呼吸器系疾患が増加したこと等が影響し、「医療費(加入者1人当たり医療給付費)」は前年度に比べ4.1%増加した。

加入者は3956万人(前年度比1.1%減)、扶養率は0.573(同0.018ポイント減)。加入者1人当たり保険給付費は18万736円(同4.0%増)で、このうち現金給付を除く医療給付費が16万3121円(同4.1%増)だった。

拠出金等は、前期高齢者納付金が1兆5321億円、後期高齢者支援金が2兆1903億円、退職者給付拠出金が0億円の全体で3兆7224億円となる。前年度から3.8%、1358億円増加。拠出金等の増加は、後期高齢者支援金について、概算納付額が増加したことおよび精算額(戻り分)が減少したことなどを主な要因とした。

後期高齢者支援金については、団塊の世代が後期高齢者に移行する令和7年度にかけて急増し、5年度と比較して3400億円程度の負担増を見込んでいる。

その他支出(前年度比683億円減)は、前年度に交付された国庫補助の精算等による国への返還が生じなかったことを要因とした。

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