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健保ニュース 2024年7月下旬号

7年度薬価改定の検討に着手
実施可否や算定ルール等論点
松本理事 新創加算の累積額控除を

中医協の薬価専門部会は17日、令和7年度薬価改定に向けた検討に着手した。
 5年12月20日に中医協が決定した「6年度薬価制度改革の骨子」は、「診療報酬改定がない年の薬価改定の在り方については、引き続き検討することとし、6年度速やかに議論を開始することとする」と明記。

その後、6年6月21日に政府が閣議決定した「骨太方針2024」では、「2025年度薬価改定に関しては、イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、その在り方について検討する」との方向性を示した。

診療報酬改定がない年の薬価改定は、平成28年12月20日の4大臣合意で決定した「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」で、「価格乖離の大きな品目について薬価改定を行う」とされた。

令和3年度は平均乖離率8%の0.625倍(乖離率5%)を超える、価格乖離の大きな品目を対象とする一方、「新型コロナウイルス感染症特例」として、薬価の削減幅を0.8%分緩和。医療費への影響は▲4300億円だった。

5年度は平均乖離率7.0%の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目を対象とする一方、不採算品再算定について臨時・特例的に全品を対象に適用するとともに、イノベーションに配慮する観点から、新薬創出等加算の加算額を臨時・特例的に増額。医療費への影響は▲3100億円だった。

既収載品目の算定ルールは、3年度・5年度薬価改定とも実勢価改定と連動し、その影響を補正するルールを適用した。新薬創出等加算の加算は適用する反面、累積額控除は不適用。また、後発医薬品への置換え率に応じて引き下げる長期収載品の薬価改定も適用しなかった。

他方、薬価制度とも関連する薬事規制、医薬品の安定供給、医薬品の流通に関する会議では議論のとりまとめなど、今後の方針が示されている。

厚労省は、こういった経緯を踏まえ、7年度薬価改定の在り方を論点として提案。また、「骨太方針2024」で取り巻く環境の変化を踏まえることが指摘されていることを受け、今後の検討にあたり、これまでの薬価改定の影響も含め、関係業界からの意見聴取も行いつつ、議論を深めることを論点とした。

健保連の松本真人理事は、「診療報酬改定のある年、ない年に関わらず、市場実勢価格に連動するものだけでなく、政策的なルールを含め、現行制度に則って毎年、粛々と薬価改定を実施することが支払側の基本的スタンス」と言及。

そのうえで、7年度薬価改定は、国民負担を軽減する観点から、値引き販売が行われている品目の薬価差を国民に確実に還元することが必要と指摘した。

さらに、既収載品目の算定ルールについて、新薬創出等加算の累積額控除を適用するよう強く要望。新薬創出等加算は実勢価改定を猶予する仕組みとの考えを示し、累積額控除も実勢価改定と連動するルールとして適用する必要があるとした。

診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「4大臣合意の8年前と比べ、医療を取り巻く環境は大きく変化している」と主張したうえで、「7年度薬価改定は、現下の状況を踏まえ、実施の可否を含めた慎重な検討が必要」との見解を示した。

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