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健保ニュース 2024年7月中旬号

特定機能病院のあり方検討会
年内を目途に取りまとめ
松本理事 承認要件に先進性と網羅性を

「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長・松田晋哉産業医科大学医学部公衆衛生学教室教授)は3日、令和元年以来5年ぶりとなる会合を開き、特定機能病院の承認要件のあり方について議論した。

この日の会合で厚生労働省は、特定機能病院における①医療提供②医療技術の開発・評価等③医療に関する研修等④大学附属病院本院と同分院⑤「特定領域型」の取り扱い─の現状を踏まえた論点を提示。次回以降、今回挙げた論点について意見集約し、年内を目途に取りまとめを行う方針を示した。

特定機能病院の承認審査を行う社会保障審議会医療分科会では、▽大学附属病院は医療提供以外にも、人材育成や人材供給、研究開発推進の役割を求められる点で他の医療機関とは一線を画すため、特定機能病院を称する大学附属病院の機能を整理するべき▽医療技術は年々高度化しており、時代に即した承認要件の設定を検討するべき▽「特定領域型」の特定機能病院の承認要件が不明瞭─といった特定機能病院の承認要件のあり方を指摘する意見が挙げられている。

特定機能病院は、地域医療と機能分化・連携し、高度医療の提供、高度の医療技術の開発・評価および高度医療に関する研修を実施するなど総合診療能力を備える。

400床以上、診療科10以上、手厚い人員配置、医療安全管理体制などの一定の承認要件を満たす必要があり、申請にもとづき厚労大臣が承認。4年12月1日現在で88病院▽総合型:大学病院本院79、ナショナルセンター1、その他1▽がん等の特定の領域に対応する特定領域型:大学病院本院0、ナショナルセンター3、その他4─が存立する。

厚労省は①のなかで、先進医療や難易度が比較的高い疾患への対応は、医療の高度化により特定機能病院ではない病院でも実施されていると説明。これを踏まえ、特定機能病院における高度な医療の提供のあるべき方向性や承認要件等をどう考えるかを課題とした。

健保連の松本真人理事は、①におけるあるべき方向性や承認要件について、「他の医療機関で提供できるものを特定機能病院が提供する必要性は乏しい」と指摘。広域の医療拠点、地域医療の「最後の砦」となる役割を考えれば、ある程度の幅広さも重要と強調し、先進性と網羅性という両方を兼ね備えることを特定機能病院に期待する」と述べた。

また、②は、日本全体の医療水準にも関わるとして、時代の変化に応じてレベルアップしていくために、外部資金の獲得や臨床研究の実績要件を見直すべきと提案した。

今村英仁構成員(日本医師会常任理事)は、DPC導入により、診療報酬上、特定機能病院が高い評価を得る仕組みになっていると述べ、特定機能病院の本来の機能や目的を考えていく必要があると指摘した。

このほか、医療技術の研究支援・審査体制の設置や医師だけではなく多職種による人材教育への評価、高度医療を扱ううえでの安全性・ガバナンスの評価体制などに関する意見が挙げられ、類型化や基準策定をめざし検討する方向性を了承した。

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