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健保ニュース 2024年7月中旬号

医療DX加算のヒアリング受け
中医協 診療報酬上の対応を議論
支払・診療側の意見二分

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は3日の総会で、医療DXの推進にかかる診療報酬上の対応について議論した。

この日の会合では、厚生労働省が「医療DX推進体制整備加算に係るヒアリング」の結果を報告した。

ヒアリングは、令和6年6月20~27日にかけて、13病院、10医科診療所、10歯科診療所、11薬局開設者(全国チェーン6法人、 地域チェーン5法人)を対象に実施。ヒアリング対象のマイナ保険証利用率は、▽病院は最低0.3%、最高72%▽医科診療所は同0.1%、同83%▽歯科診療所は同1.7%、同33%▽薬局は同0%、同81%─だった。

ヒアリング結果では、「患者へのメリット周知」や「積極的な声かけ」などがマイナ保険証の利用促進につながったとする一方、「説明に時間を要する」、「公費関係(難病、透析等)がマイナ保険証とリンクしていない」などの課題も明らかとなった。

ヒアリング結果を踏まえ、厚労省は、①足元のマイナ保険証利用率や、医療機関・薬局のマイナ保険証利用促進の取り組み等を踏まえ、医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用実績要件等のあり方②医療情報取得加算について、6年12月2日から現行の健康保険証の発行が終了することを踏まえ、医療情報取得加算による適切な情報にもとづく診療の評価のあり方について6年度早期より見直しの検討を行うこと─を論点として提示した。

健保連の松本真人理事は、①について、「目標となるよう高い基準を設定すべき」と強調。段階的な基準の引き上げも考えられるとした一方、「マイナ保険証の利用にあまり積極的でない医療機関まで拾い上げることは政策目的の達成にはつながらない」と述べ、メリハリを利かせることもあり得るとの認識を示した。

また、「実績要件を設定する際の利用率の計算方法も重要な検討課題」と発言し、用いる計算式を明確にするよう求めた。

さらに、今後はマイナ保険証の利用が原則となる一方、既存の保険証や資格確認書による受診も想定されるとして、「そのような場合でも医療DXを活用し、少なくともオンライン資格確認の実施は加算要件にするべき」と指摘した。

②については、本年12月2日から健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証の利用が当たり前となることを踏まえ、「医療情報取得加算を継続する必要性は乏しい」と述べ、「期中の対応になるかもしれないが、早期の見直しを検討すべき」との考えを示した。

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、①について、「ヒアリングでは、医療DX推進体制整備加算が算定しにくいとの実態が明確になっており、未だに届け出していない医療機関が今後届け出を行えるよう、裾野を広げることが最も重要」と強調した。

そのうえで、「届け出の足かせとなるような高い利用率を要件に設定することは、医療DXそのものの今後の推進に逆行する」として「断固反対する」と言及。医療機関における利用率向上の取り組みがさらに加速するような要件設定を求めた。

②については、「マイナ保険証による受診が進んだとしても、医療情報を取得活用することで、質の高い診療を患者に提供することに今後も何ら変わりはない」と発言し、「医療情報取得加算の廃止は到底受け入れられない」と反対の意を示した。

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