健保ニュース
健保ニュース 2024年7月上旬号
かかりつけ医機能確保への研修
河本専務理事 必須項目の検討を
厚生労働省の「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」(座長・永井良三自治医科大学学長)は6月21日に会合を開き、かかりつけ医機能の確保に向けた医師の研修などについて議論した。
この日の会合では、厚労省が、①かかりつけ医機能に関する医療機能情報提供制度の刷新②障害のある方に対するかかりつけ医機能③かかりつけ医機能の確保に向けた医師の研修─についての考え方を提示。
①では、1号機能および2号機能の報告で「当該機能有り」と現時点でならない場合における、「今後担う意向の有無」以外の項目を、かかりつけ医機能報告の報告事項のうち、「国民・患者が適切に医療機関を選択できることに資する項目」として、医療機能情報提供制度の情報提供項目に位置づける見直しを提案した。
合わせて、医療情報ネット「ナビイ」で国民・患者に分かりやすく情報提供する観点から、用語解説を作成し、かかりつけ医機能の内容を周知するとともに、上手な医療のかかり方の周知を行う方針を示した。
②では、障害者・関係団体とのヒアリング等を踏まえ、▽医療機能情報提供制度の情報提供項目の見直し▽医療情報ネット「ナビイ」の情報提供方法の見直し▽かかりつけ医機能報告制度─等を対応案として整理した。
③では、かかりつけ医機能の確保に向けた医師の研修についての骨子案を提示。
骨子案には、(1)かかりつけ医機能の確保に向けた医師の教育や研修の充実に関する基本的な考え方(2)かかりつけ医機能報告の報告対象として該当する研修(3)厚生労働科学研究班による詳細の検討─等の内容を盛り込んだ。
このうち、(2)では、研修について、知識(座学)と経験(実地)の両面から望ましい内容等を整理したうえで、研修の実施団体からの申出にもとづき、報告対象として該当する研修を厚労省において示すこととした。
健保連の河本滋史専務理事は、①について、「分かりやすいことが大変重要」と述べ、医療機関が対応可能な機能を広く情報提供することで、患者のかかりつけの医療機関の選定に資するような形が望ましいと主張した。
他方、1号機能および2号機能の報告については、「時間外対応など、既に医療情報ネットで公表している項目と重複する部分が出てくる」と指摘。「医療情報ネットはあくまでかかりつけ医機能を有する医療機関を探すためのものであり、1号機能でスクリーニングをかけていることを明示すべき」との考えを示した。
②については、「障害のある方の要望に応えることは、本人やご家族はもちろん、障害のない方にとっても患者に配慮した医療機関を探す際の参考になる」と、賛同の意を表明した。
③では、「かかりつけ医機能の確保に向けて研修は極めて重要」と強調し、「研修内容は、修了が望ましい項目に加え、修了を必須とする項目を示すことも検討すべき」と主張した。
合わせて、地域医療の底上げに向け、研修修了医師の公開等を求めるとともに、医師の診療能力が確実に担保される制度運用の観点から、研修における更新制度の設計を要望した。
一方、城守国斗構成員(日本医師会常任理事)は、③について、「必須項目の設置など、制約が生じるような報告内容は、地域を面で支える制度の設計に資することにはならない」と主張。研修における必須項目の設置に反対の意を示した。