健保ニュース
健保ニュース 2024年7月上旬号
医療保険部会がマイナ保険証を議論
佐野会長代理 タイムラグ問題に対応要望
社会保障審議会医療保険部会(田辺国昭会長)は6月21日、マイナ保険証の利用促進等をテーマに議論した。
この日の会合では、厚生労働省が、マイナ保険証に関する現状として、▽マイナンバーカードの保有者は9238万人、全人口の73.7%(4月末)▽マイナ保険証の登録者は7255万人、カード保有者の78.5%(4月末)▽マイナ保険証の携行者はカード保有者の約50%(5月)▽マイナ保険証の利用経験者は約3人に1人(5月)─を提示。
そのうえで、医療機関等におけるマイナ保険証利用促進のための支援について、高利用施設に対するさらなる利用率の向上を促すために、診療所・薬局の一時金を最大20万円(病院は最大40万円)へと倍増する対応を提案した。
他方、医療機関等でマイナ保険証を利用した時や、健康保険証で受診しオンライン資格確認端末で資格確認した時に、新資格が登録されていないことで「資格無効」となっているとの意見があること等を踏まえ、①保険者におけるデータ登録の迅速化②受診時のマイナ保険証による資格確認の円滑化─に向けた対応を示した。
①は、▽対応の全体像▽保険者内における取り組み▽事業主・加入者に対する取り組み─などデータ登録の迅速化に向けたチェックリスト等を参考に事務フローの点検を行い、その結果にもとづく改善計画を策定したうえで必要な取り組みを行うことを求める。
②は、マイナ保険証により医療機関等を受診した際、データ登録が行われないまま受診することがないよう、保険者等から加入者に対し、▽データ登録が完了しマイナ保険証が使えるようになるまでに要する期間の提示▽データ登録が完了したことを資格情報のお知らせなどを利用して確実にお知らせ─するなどの対応を徹底するよう要求。
早期に状況が改善されるよう、①の改善計画の策定状況と②の対応状況について、フォローアップ調査を実施するとした。
健保連の佐野雅宏会長代理は、データ登録の完了までに一定の時間がかかる「タイムラグ問題」について、「加入者から正確なマイナンバーが速やかに提出されなければ、タイムラグ問題は解消できない」と指摘し、資格取得届等へのマイナンバーの記載を徹底することに強制力を伴う対応を行うよう厚労省に要望。
また、個人情報保護法よりも厳格な保護措置や罰則を設定している「番号法」における特定個人情報の取り扱いがタイムラグの要因となっているとして、見直しを求めた。
さらに、タイムラグ縮小に向けて、マイナポータルの活用推進は必須だと強調し、マイナポータルからのプッシュ式機能を速やかに導入するよう訴えたほか、国民向け広報PRの強化を要請。
マイナ保険証として登録すれば保険者が変わってもタイムラグなく円滑に保険診療が受けられるよう、レセプトの振替・分割機能を活用した請求スキームの見直しなど、抜本的な運用見直しも必要との考えを示した。
北川博康委員(全国健康保険協会理事長)は、「円滑な事務処理のためには、省令上で義務化されている届出書へのマイナンバーの記載が徹底されるということが何よりも重要なファクターだ」との認識を示したうえで、マイナンバー記載にかかる関係者の尽力を要請。今後は、マイナンバーによる届け出を前提とするなど、事務フローの見直しを検討するよう訴えた。