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健保ニュース 2024年6月下旬号

マイナ保険証の利用実態等
医療機関薬局へのヒアリング実施を了承

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は12日の総会で、医療DX推進体制整備加算にかかるヒアリングを実施することを承認した。

この日の会合では、厚生労働省が「医療DX推進体制整備加算に係るヒアリングについて」を提案。

令和6年度診療報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」について、▽医療機関等が満たすべき要件の1つとして「マイナ保険証の利用実績が一定以上であること」を設けており、同要件が6年10月1日から適用される▽中医協答申附帯意見で、今後のマイナンバーカードの保険証利用の利用実態およびその活用状況を把握し、適切な要件設定に向け検討を行うとされている─ことを踏まえ、本年6月に、マイナンバーカードの保険証利用の利用実態等に係る医療機関・薬局へのヒアリングを実施する方針を示した。

ヒアリングは、利用率等を踏まえ▽病院▽医科診療所▽歯科診療所▽薬局─のそれぞれで10施設程度の調査客体を抽出し、医療機関・薬局におけるマイナンバーカードの保険証利用状況や利用促進の取り組み状況、課題等について調査。

6月中・下旬を目途に開始し、7月中旬にヒアリング結果を中医協で報告することとした。
 健保連の松本真人理事は、「オンライン資格確認等システムの導入がほぼ完了しているにもかかわらず、マイナ保険証の利用が進まない状況に懸念を持っている」と発言。

関係者が一丸となってマイナ保険証の利用促進に取り組む方針となっていることを踏まえ、保険者として現場の医療従事者とともにさらなる加入者への周知広報を進める考えを示した。

「医療DX推進体制整備加算」については、「質の高い医療を提供するため、医療DXに対応する体制を確保している場合の評価として新設されたことを強く意識する必要がある」と指摘。

加算の趣旨である質の高い医療という観点で考えれば、医療DXに積極的な医療機関・薬局からも意見を聴取すべきと主張した。

特に、すでに診察室や手術室で診療情報を確認できる体制を有し、加算を算定している医療機関をはじめ、加算の経過措置がすべて終了したケースを想定し、電子処方箋管理サービスに参加している施設や電子カルテ情報共有サービスに参加する意欲のある施設を対象にすることも必要との考えを示した。

合わせて、「マイナ保険証の利用率が高い医療機関・薬局から、利用率の向上や医療情報の活用についてどのようなことを行ってきたかの好事例を収集することも必要」と指摘。医療DXの推進で質の高い医療が提供され、そのメリットを多くの患者が実感できるよう、ポジティブなヒアリングとなるような質問内容の検討を厚労省に求めた。

一方、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「医療DX推進体制整備加算に対し、現場から算定に必要となる届出が分かりにくいとの指摘が出ている」と言及し、「届出や算定が未だ十分に多くない状況には配慮が必要」と強調しつつ、ヒアリングの客体となる医療機関の特性や地域性を十分に考慮したうえで抽出するよう求めた。

他方、「同加算の施設要件とされている電子処方箋の導入が想定よりもかなり遅れている」と発言。ベンダーが対応できていないことや、導入費用が高いことなど、ヒアリングを契機に医療現場の実態を把握すべきと主張した。

ヒアリングの実施に向け、「集計データ、特に平均値には一面性や限界があり、多角的・多面的に丁寧に検討する必要がある」と指摘したうえで、「医療現場の実績を把握できる今回のヒアリングの持つ意義は大きい」との考えを示した。

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