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健保ニュース 2024年6月下旬号

政府が「骨太方針2024」原案
これまでの歳出改革努力を継続
医療保険改革は総合的に検討

政府は11日の経済財政諮問会議(議長・岸田文雄首相)に、「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太方針2024)」の原案を示した。与党との調整を経て、近く閣議決定する。予算編成では、「2025年度から2027年度までの3年間、これまでの歳出改革努力を継続する」と明記した。全世代型社会保障の構築に向けては、「医療・介護等の不断の改革により保険料負担の上昇を抑制することが極めて重要」と強調。医療保険制度改革は、給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、関連法案の提出も含め、各種制度における総合的な検討を進める方針を示した。

令和7年度の薬価改定
具体的なあり方を検討

「骨太方針2024」の原案は、人口減少が深刻化する2030年代以降も、実質1%を上回る経済成長を実現するとともに、医療・介護給付費対GDP比の上昇基調に対する改革に取り組むことで、一定幅でのPBの黒字基調を維持していくことができれば、長期的な経済・財政・社会保障の持続可能性が確保されると見通した。

中期的に持続可能な経済社会の実現に向けて、成長型の新たな経済ステージに移行するための経済財政政策や中期的な経済財政の枠組み、主要分野ごとの基本方針と重要課題を明記し、当面の経済財政運営と令和7年度予算編成の考え方を示した。

持続可能な経済社会の実現を軌道に乗せるべく、人口減少が本格化する2030年度までの6年間を対象期間とする「新たなステージ」への移行を支える「経済・財政新生計画」を定め、経済・財政一体改革を推進する。

計画期間の当初3年間(2025~2027年度)に集中的に改革を講じ、経済・財政・社会保障を一体として相互に連携させながら改革を進め、経済社会の持続可能性を確保していくとした。

予算編成においては、「集中的に改革を講ずる2025年度から2027年度までの3年間について、これまでの歳出改革努力を継続する」と記載した。

政府は、「骨太方針2021」を踏まえ、2022年度から2024年度までの3年間、社会保障関係費の実質的な伸びを高齢化による増加相当分におさめる目安に沿った予算編成を行ってきたが、2025年度以降も規律ある「歳出の目安」の下で歳出改革の取り組みを継続していく方針を示した。

一方、その具体的な内容については、「経済・物価動向等に配慮しながら、各年度の予算編成過程で検討する」と注釈に記載した。

改革の着実な推進に向け、「骨太方針」、「全世代型社会保障構築をめざす改革の道筋(改革工程)」、その他各分野における取り組みを踏まえ、本年末までにEBPMの強化策および経済・財政一体改革の工程を具体化するとともに、毎年改革の進捗管理・点検・評価を行うとした。

主要分野に位置づけた「全世代型社会保障の構築」に向けては、現役世代の消費活性化による成長と分配の好循環を実現していくため、「医療・介護等の不断の改革により保険料負担の上昇を抑制することが極めて重要」と強調。

経済・財政一体改革におけるこれまでの議論も踏まえて策定された「改革工程」にもとづき、その定める「時間軸」に沿った改革を着実に推進する方針を示した。

医療・介護保険等の改革は、給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、関連法案の提出も含め、各種医療保険制度における総合的な検討を進めると明記。

改革を進めるに当たり、審査支払機関による医療費適正化の取り組み強化、多剤重複投薬や重複検査等の適正化に向けた実効性ある仕組みの整備を図る。

健康寿命を延伸し、生涯活躍社会を実現するため、第3期データヘルス計画にもとづき保険者と事業主の連携(コラボヘルス)の深化を図るとともに、予防・重症化予防・健康づくりに関する大規模実証研究事業の活用などで保健事業を推進する対応を盛り込んだ。

引き続き迅速な保険収載の運用を維持したうえで、イノベーションの推進や現役世代等の保険料負担に配慮する観点から、「費用対効果評価の適用拡大について検討する」と記載。

さらなるスイッチOTC化の推進等によりセルフケア・セルフメディケーションを推進しつつ、「改革工程」に記載された▽薬剤定額一部負担▽薬剤の種類に応じた自己負担の設定▽市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直し─などの薬剤自己負担の見直しについて引き続き検討を進める方針を示した。

診療報酬改定がない年の令和7年度薬価改定は、「イノベーションの推進や安定供給確保、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、具体的なあり方を検討する」と明記した。

リフィル処方の活用推進に向けて、阻害要因を精査し、保険者からの個別周知等による認知度向上をはじめとする機運醸成に取り組む。

健康医療、こども子育て支援分野において、「未来志向型モデルプロジェクト」(仮称)を実践。全世代型健康診断によるプロアクティブケアの推進など、分野横断的かつ包括的で地域の実情に応じた効果ある支援を行うとした。

医療費適正化の強化へ
支払基金を抜本的改組

令和7年度予算編成に向けては、持続的・構造的賃上げの実現、官民連携による投資の拡大、少子化対策・こども政策の抜本的強化を含めた新たなステージへの移行に向けた取り組みの加速、防衛力の抜本的強化をはじめとしたわが国を取り巻く環境変化への対応など、重要政策課題に必要な予算措置を講ずること等により、メリハリの効いた予算編成とする方針を示した。

EBPMやPDCAの取り組みを推進し、効果的・効率的な支出(ワイズスペンディング)を徹底。単年度主義の弊害是正、骨太方針における重点課題への対応など、中長期の視点に立った経済・財政・社会保障の持続可能性の確保に向けた取り組みを進めるとした。

このほか、「骨太方針2024」原案は、医療・介護の担い手を確保して、より質の高い効率的な医療・介護を提供する体制を構築するとともに、医療データを活用し医療のイノベーションを促進するため、必要な支援を行いつつ、政府を挙げて医療・介護DXを確実かつ着実に推進すると明記。

医療DXに関連するシステム開発、運用主体として、社会保険診療報酬支払基金について、国が責任を持ってガバナンスを発揮できる仕組みを確保するとともに、情報通信技術の進歩に応じて、迅速かつ柔軟な意思決定が可能となる組織へと抜本的に改組する。

必要な体制整備を図るほか、医療・介護DXを推進し、医療費適正化の取り組みを強化するための必要な法整備を行うとした。

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