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健保ニュース

健保ニュース 2024年6月中旬号

サービス内容や出産費用を公表
厚労省 5月30日に「出産なび」開設
費用は中位50%を目安に表示

厚生労働省は5月30日、全国の分娩を取り扱う病院・診療所・助産所の特色・サービスや費用に関する情報提供を行うWebサイト「出産なび」をホームページ上に開設した。

妊婦があらかじめ費用やサービスの情報を踏まえて適切に出産する施設を選択できるよう、全国の分娩を取り扱う施設ごとのサービス内容や出産費用などを公表する。

令和5年4月1日から、出産時に公的医療保険から支給される出産育児一時金の額が原則42万円から50万円に増額されたことと合わせ、厚労省は出産費用の「見える化」を進め、妊婦が安心して出産できる環境を整えていくこととしている。

「出産なび」の開設には、出産費用の地域差や施設差が背景にある。4年度の室料差額等を除く都道府県別の出産費用(正常分娩)をみると、全国平均48万2294円に対し、最も高い東京都(60万5261円)と最も低い熊本県(36万1184円)では24万円以上の差が発生。また、地域内でも施設によって費用は様々に異なる。

他方、妊婦のそれぞれのニーズに応じ、施設ごとの費用やサービスを踏まえ適切に出産施設を選択できる環境を整えることが重要だが、厚労省の「妊産婦のニーズに適合した産科医療機関の選択に必要な情報の内容と提供方法の検討のための研究」によると、妊婦にとって費用面に関する情報収集が容易でないことが明らかになっている。

厚労省は、妊婦が費用やサービスを踏まえて適切に出産施設を選択できる環境を整備するため、全国の出産施設に関する情報を提供する。

妊婦は、Webサイトのトップページから、地域・条件を設定して施設を検索する。都道府県は最大3件まで選択可能。選択した都道府県内の市区町村をさらに絞り込んで選択できる。

また、出産施設の種類は▽病院▽有床診療所(19床以下)▽助産所─、付帯サービスは▽母子同室▽個室あり▽立ち合い出産▽無痛分娩─のように、詳細条件の設定も可能となる。

費用等は、5年10月1日から12月31日の期間に出産育児一時金の直接支払制度を利用した場合に、分娩施設から審査支払機関に提出される請求書のデータをもとに計算。在胎22週以降の正常分娩(保険診療を行っていない分娩)を集計対象とした。

費用に関して掲載する情報は、▽分娩にかかる費用の総額▽基本的な分娩費用(総額から室料差額・産科医療補償制度の掛け金を除いたもの)▽室料差額─を掲載。平均値、中央値のほか、下位25%~75%の幅を目安として表示する。

Webサイトの掲載対象は、①病院、診療所または助産所②6年4月時点で分娩を取り扱っている施設③4年度における分娩取扱件数が21件以上で出産育児一時金の直接支払制度を利用─を満たす施設。同意しなかった施設は掲載していない。

5月30日時点で「出産なび」に掲載されている全施設数は2043施設で、②と③の施設に占める割合は96%。内容の変更や項目の追加を行った際は、適切な時期に更新を行う。

厚労省の担当者は、同日に行った記者会見で、「出産なびは、多くの妊婦の声にもとづいて生まれたもの」と説明し、「妊婦が安心してお子さんを産める世の中をつくっていくために、これからしっかり運営していきたい」との意欲を示した。

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