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健保ニュース 2024年6月上旬号

諮問会議が骨太方針策定へ議論
民間議員 社会保障強靭化へ提言
薬剤自己負担のあり方検討など

政府の経済財政諮問会議(議長・岸田文雄首相)は5月23日、6月に策定予定の「骨太方針2024」に向けて、中長期の重点課題に位置づけた「社会保障の強靭化」と「生涯活躍と少子化への対応」をテーマに議論した。

民間議員は、応能負担と歳出改革の徹底を通じて社会保障を持続可能なものとし、国民の将来不安を払拭していく必要があると指摘したうえで、保険外併用療養費制度の対象範囲拡大や薬剤自己負担のあり方の検討などを提言した。

岸田首相は、「社会保障が、成長と分配の好循環を支える柱として機能していくには、社会保障給付費対GDP比の上昇基調に対する改革に取り組み、効率的で強靭な社会保障制度を構築していくことが重要」と言及。

医療DXや社会保障分野でのイノベーションの創出に向けた取り組みを進めるほか、地域医療構想や1人当たり医療費の地域差半減など医療費・介護費の適正化に向けた改革を前進させていくと強調し、骨太方針に向けた施策の具体化を進めるよう新藤義孝内閣府特命担当相、武見敬三厚生労働相、加藤鮎子内閣府特命担当相に指示した。

この日の会合では、民間議員が、「誰もが活躍できるウェルビーイングの高い社会の実現に向けて」と題する意見を提出した。

「社会保障の強靭化」に向けては、応能負担と歳出改革の徹底を通じて、社会保障を持続可能なものとし、国民の将来不安を払拭していく必要があると指摘。医療と介護の持続性確保には、人口減少が加速する2030年代以降も実質1%を上回る成長を確保するとともに、足下から給付費対GDP比の上昇基調に対する給付と負担の改革に取り組むことが重要との考えを示した。

改革を強力に推進し、医療・介護費の適正化を図るため、①データ駆動型の社会保障に向けた環境整備②社会保障分野でのイノベーション創出③国民の安心につながる医療・介護の提供体制④持続可能な保険制度、給付と負担のあり方⑤社会保障の強靭化に向けた検討─を「骨太方針」に盛り込み、諮問会議や経済・財政一体改革推進委員会で進捗を点検すべきと提言。

このうち、①は、医療DXの工程表に沿って、電子カルテの標準化・普及、全国医療情報プラットフォーム構築、医療情報の二次利用等を強力に推進する。さらに、公的保険から報酬を受け取るすべての医療・介護事業者を対象とする事業報告データを早急に整備するよう求めた。

③は、地域医療構想は2025年の目標に向け国のアウトリーチ支援を徹底し、その実例から地域類型に応じたモデルプランを用意し横展開を実施。85歳以上の人口増に備え、2040年頃を見据え医療・介護連携、かかりつけ医機能・在宅医療への対象拡大、都道府県の責務の明確化など、法制度を見直す。

また、医師の偏在是正について、診療報酬等による経済的インセンティブと規制的手法のベストミックスによる対策を早急に検討すべきとした。

④は、国民皆保険の堅持と両立させつつ、国民が医療や医薬品に関するイノベーションの恩恵を早期に享受できるよう、民間保険の活用も含めた保険外併用療養費制度の対象範囲を拡大するとともに、薬剤の費用対効果評価や自己負担のあり方を検討するよう要望。

介護におけるサービス利用者2割負担の判断基準等の見直しは、応能負担の考え方等に沿って、2027年度から始まる「次期介護保険事業計画期間」の前までに検討し、確実に結論を得るよう訴えた。

このほか、民間議員は、「生涯活躍と少子化への対応」では、高齢者の健康寿命が延びるなかで、高齢者の定義を5歳延ばすことを検討するよう提言した。

他方、若年期からの健康管理を促す全世代型健康診断や、スイッチOTCの拡大、リフィル処方箋の活用促進も含むセルフメディケーションの推進など、国民の自発的な疾病予防・健康づくりを推進すべきとした。

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