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健保ニュース 2024年5月下旬号

令和6年度の後期支援金等決定状況
健保組合 4.8%増の4.9兆円
後期支援金は4.7%増

社会保険診療報酬支払基金(神田裕二理事長)は4月23日、医療保険者に対する令和6年度の①後期高齢者支援金②前期高齢者納付金③介護給付費・地域支援事業支援納付金─の徴収決定に加え、④出産育児交付金の交付決定状況を公表した。

健保組合が6年度に納付する①~③の徴収決定額は合計4兆9157億円で、前年度に比べ4.8%増加した。いずれも、6年度概算額から4年度精算額等を控除または加算して決定額が算出される。

①には、5年5月に成立した「医療保険制度改革関連法」により、現役世代の負担上昇を抑制する観点から後期高齢者負担率の見直しが導入されたものの、団塊の世代の75歳到達による後期高齢者の増や1人当たり医療費の増などによる増加分が上回り、前年度比4.7%の増加となった。

また、④は、「医療保険制度改革関連法」で導入された出産育児一時金を全世代で支える仕組みにより新設。後期高齢者医療広域連合から出産育児支援金を徴収し、保険者に対して出産育児交付金を交付する。健保組合の交付決定額は45億円となった。実務上は、後期高齢者支援金等から出産育児交付金を相殺した額を徴収する取り扱いとなる。

①~④にかかる徴収および交付決定状況をみると、①後期高齢者支援金の徴収決定額は合計7兆1589億円(概算額7兆3733億円、精算額等2144億円)で、前年度に比べ同4.0%増加した。

「医療保険制度改革関連法」では、現役世代1人当たり後期高齢者支援金と後期高齢者1人当たり保険料の伸び率が同じになるよう、高齢者負担率の設定方法が見直され、現役世代の負担の抑制が図られた。一方で、団塊の世代が75歳に到達したことによる後期高齢者の増、1人当たり医療費の増など増加分が上回り、昨年に引き続きの増加となった。

保険者別の徴収決定額は、▽健保組合2兆2520億円(概算額2兆2713億円、精算額等192億円)、前年度比4.7%増▽協会けんぽ2兆3389億円(概算額2兆3911億円、精算額等522億円)、同6.8%増▽船員保険81億円(概算額82億円、精算額等1億円)、同8.9%増▽共済組合7504億円(概算額7765億円、精算額等261億円)、同4.1%増▽都道府県国保1兆6213億円(概算額1兆7334億円、精算額等1121億円)、同0.5%減▽国保組合1883億円(概算額1929億円、精算額等46億円)、同2.6%増─だった。

なお、後期高齢者支援金の賦課方式は、後期高齢者の医療給付費から後期高齢者の保険料、公費を除いた支援金総額の費用を国保と被用者保険の加入者数に応じてそれぞれの持ち分を算出したうえで、被用者保険はその全額を総報酬割で按分するもの。

②前期高齢者納付金の徴収決定額は合計3兆4496億円(概算額3兆3294億円、精算額等▲1202億円)で、前年度と比べ3.9%減少した。

健保組合は1兆5934億円。概算額1兆4684億円に対し、精算額等▲1250億円を追徴し、前年度比6.3%増となった。

「医療保険制度改革関連法」で、被用者保険間における前期高齢者の医療給付費負担に「報酬水準に応じた調整(1/3)」が導入されたことに伴い、健保組合の負担増が見込まれたが、1人当たり給付費の算定方法の変更(単年度から3年度)や特別負担調整の拡充(100億円から200億円)による軽減、さらには前期高齢者の減少等による財政調整規模の縮小などが影響し、概算額で比較すると、6年度は5年度(1兆4886億円)を202億円下回る結果となった。

他方、協会けんぽは、「報酬水準に応じた調整(1/3)」等の導入により、概算額で比較すると、6年度は5年度(1兆4456億円)を1758億円下回る大幅な負担減となった。6年度概算額1兆2698億円から精算額等▲163億円を追徴し、決定額は前年度比16.0%減の1兆2862億円。被用者保険のうち、対前年度比で決定額が減少したのは協会けんぽのみだった。

このほか、▽船員保険31億円(概算額28億円、精算額等▲2億円)、前年度比21.8%増▽共済組合4956億円(概算額5222億円、精算額等267億円)、同0.9%増▽都道府県国保33億円(概算額78億円、精算額等46億円)、同16.4%減▽国保組合681億円(概算額583億円、精算額等98億円)、同11.4%増─となった。

前期納付金・交付金の仕組みは、保険者間の65~74歳の前期高齢者加入率の差に着目して財政調整するもので、実態として前期高齢者を多く抱える国保を被用者保険が財政支援する構造となっている。

6年度の前期高齢者の加入者数(見込み)は1493万1571人(前年度比54万7509人減)、全国平均加入率は14.5%(同0.4ポイント低下)と見込んだ。健保組合は、前期高齢者数93万6679人、総加入者数2760万5478人、前期高齢者加入率3.4%で、全国平均との差相当分を納付金として負担する。

都道府県国保は前期高齢者数1021万164人、総加入者数2427万6641人、前期高齢者加入率42.1%で、全国平均との差相当分を交付金として受け入れる。

6年度における都道府県国保への前期交付金決定額は、3兆4653億円(同3.7%減)となった。

③介護給付費・地域支援事業支援納付金の徴収決定額は合計3兆1540億円(概算額3兆6689億円、精算額等5149億円)で、前年度比0.5%増加した。健保組合の介護納付金は1兆658億円(概算額1兆2041億円、精算額等1384億円)で、前年度比2.2%増となった。

④出産育児交付金の交付決定額は合計132億円。健保組合は45億円、協会けんぽは59億円、共済組合は20億円だった。

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