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健保ニュース 2024年5月下旬号

被用者保険の適用の在り方懇談会
短時間労働者の適用要件を議論

「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」(座長・菊池馨実早稲田大学理事・法学学術院教授)は14日、短時間労働者に対する適用範囲のあり方をテーマに議論した。

厚生労働省は、前回会合までの関係団体へのヒアリングで指摘された、▽働き方・働く場所にかかわらない制度設計の必要性▽適用拡大が労働者の働き方に与える影響▽人手不足により人材確保が喫緊の課題となっている状況▽適用拡大に伴う事業所の事務負担の増加・経営への影響─等に留意した短時間労働者の適用要件の見直しを論点として提示した。

短時間労働者の適用要件は、①週の所定労働時間が20時間以上②賃金が月額8万8000円(年収換算で約106万円相当)以上③学生を適用対象外④一定規模以上の企業を強制適用対象(従業員100人超。令和6年10月から従業員50人超)─の4要件。

構成員は、①について、「週の所定労働時間20時間以上は妥当である」との考えを示す一方、「要件の検討過程として、雇用保険をメルクマールとしてきた経過があり、議論の深掘が必要」などと指摘。

②は、「賃上げ状況から現時点で議論は必要ない」との意見が多い一方、「標準報酬月額との相違や賃上げを踏まえた議論が必要」などの発言があった。

③は、「多くの学生が短時間労働者となってしまうため、要件の撤廃は慎重を要する」と懸念を示す一方、「学生にヒアリングを実施し意見を聴くべき」などの意見もあった。

④は、「労働者にとって、企業規模による要件は不公平となり、早期に撤廃すべき」との意見が多い一方、「50人以下の企業は賃上げができない企業も多く、支払い能力を超える企業が増加する」などとの認識を示した。

健保連の秋山実理事は、厚労省が提示した短時間労働者に対する適用要件の見直しに向けた論点について、「労働者および事業所に与える影響の記載がある一方、医療保険の保険者に与える影響の記載がない」と指摘。

短時間労働者に対する適用拡大のあり方の議論にあたっては、「医療保険者に与える影響に留意し、財政影響の試算とともに必要な財政支援を含めて検討を進めていく必要がある」との考えを示した。

同懇談会は、今夏の「議論のとりまとめ」に向け、次回に予定する会合ではフリーランスやギグワーカーなど、個人事業所にかかる被用者保険の適用範囲のあり方について意見交換を実施する。

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