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健保ニュース 2024年5月下旬号

出産費用の保険適用へ検討会設置
佐野会長代理 現役世代の負担に配慮を

厚生労働省は、15日に開催された社会保障審議会医療保険部会に、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入等について具体的な検討を行うための「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」を新たに設置することを報告した。

政府が令和5年12月22日に閣議決定した「こども未来戦略」は、「2026年度を目途に、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等のさらなる強化について検討を進める」と明記。

これを踏まえ、厚労省は、妊娠・出産・産後に関する様々な支援等のさらなる強化の方向性について具体的な検討を行うべく、有識者の参集を得て検討会を開催することとした。

構成員は、▽医療関係者▽医療保険者等▽自治体関係者▽妊産婦の声を伝える者▽学識経験者─など。必要に応じ、構成員以外の学識経験者および実務経験者等の出席を求める。

医療保険制度における支援のあり方や周産期医療提供体制のあり方など、出産に関する支援等のさらなる強化策のほか、妊娠期・産前産後に関する支援等のさらなる強化策を検討事項とした。

検討会は、厚労省医政局長・保険局長、こども家庭庁育成局長が開催。庶務は、厚労省医政局地域医療計画課、保険局保険課・医療課、こども家庭庁成育局母子保健課で処理する。

健保連の佐野雅宏会長代理は、「国が進める少子化対策の実効性を高め、妊婦が安心して出産できる環境を整備するにあたり、透明性、公平性を図る観点から、出産費用の内訳を把握することのみならず、地域差の要因等も含め費用構造の整備・分析を行うことが重要」と指摘し、調査・分析にもとづく議論を早急に行うことが必要と言及した。

さらに、出産費用(正常分娩)の保険適用は、医療保険制度全体の枠組みにも関わる問題であるとの認識を示し、新たに設置する検討会の位置づけも含め、法改正に向けどのような工程、計画を想定しているかの全体像を明確にするよう要望。

出産費用の保険適用は、保険料を負担している現役世代の負担軽減の観点も重要になると強調し、「少子化対策の対象となる現役世代の負担増とならないよう、十分に配慮した議論を行うべき」との考えを示した。

猪口雄二委員(日本医師会副会長)は、「妊娠、出産、産後といっても、妊産婦1人ひとりにそれぞれのケースがあり、それらをどう議論し、反映していくかは、非常に困難な議題と考えている」と主張。

また、「保険適用によって地域医療にどのような影響があるのか、悪い影響は出ないのか、ということも含め、十分に検討したうえで、議論を進めていくべき」と述べた。

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