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健保ニュース

健保ニュース 2024年5月合併号

6年度柔整療養費改定
「長期・頻回」償還払い可能に
改定率は0.26%引き上げ

厚生労働省は、4月26日に開催された社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会(座長・遠藤久夫学習院大学長)に、令和6年度の柔道整復療養費の改定案を提出し、了承された。

改定率は0.26%の引き上げ。令和6年6月施術分から実施される。また、患者単位での償還払いを可能とする類型に「長期かつ頻回の受療」を追加するとともに、長期・頻回受療にかかる料金の適正化を図る。患者等への周知期間や保険者等システム整備、準備期間等を踏まえ、6年10月1日施行とした。

柔整療養費の改定率は、その年度の診療報酬改定の医科の改定率をもとに決定する。今回は、6年度の医科改定率+0.52%を踏まえ、+0.26%とした。6年6月1日から施行する。

今改定では、患者ごとに償還払いに変更できる現行事例4類型に、「※長期かつ頻回な施術を継続して受けている患者(初検日から5か月を超えて、かつ1月当たり10回以上の施術を継続して受けている患者)」を追加。

長期・頻回受療にかかる料金の適正化を図るため、5か月を超える長期施術に該当する場合における現行料金(100分の80)を見直し、100分の75に相当する額とした。さらに、上記※の患者については、後療料、温罨法料、冷罨法料及び電療料を所定料金の100分の50に相当する額で算定することとした。

所定料金の見直しにより生じた差額の範囲内において、患者に対する説明の上、柔道整復療養費の一部負担金の支払いとは別に金額の支払いを受けることができる取り扱いとなる。

このほか、物価高騰、賃上げ、医療DXへの対応として、電療料および初検料が引き上げられた。また、明細書交付義務対象施術所から人員配置要件を外し、範囲を拡大する一方、保険者単位での償還払いへの変更は継続検討事項とされた。

幸野参与
「部位転がし」事例
次期検討の方向性を評価

健保連の幸野庄司参与は、令和8年度の次期柔道整復療養費改定に向け、「調査方法を検討したうえで実態を把握する」との方針が示されたことに対し、「現在は、施術所のコスト構造や収支が分からない状況のなかで療養費の改定の議論が行われている」と指摘。

料金引き上げ後の経営実態調査や効果検証が重要との考えを示し、調査内容の早期検討、6・7年度の2か年で動向を調査することを提案した。

また、引き続きの検討事項に、患者ごとに償還払いに変更できる事例として、負傷と治癒を繰り返す「部位転がし」が疑われる事例の検討が盛り込まれたことを評価。エビデンス構築に向けた調査の早期検討を求めた。

あはき療養費改定
往療料を包括化し
訪問施術料を新設

厚生労働省は4月26日、社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会(座長・遠藤久夫学習院大学長)を開催し、令和6年度のあはき療養費の改定案を提出し、了承された。

改定率は0.26%の引き上げ。柔道整復療養費と同様に6年6月1日から実施される。
 今改定では、往療料の距離加算を廃止。廃止した財源については、新設された特別地域加算(離島や中山間地等に居住する患者へ訪問した場合の施術料の加算)や施術料と訪問にかかる往療料を包括した訪問施術料へ振り分ける。6年10月1日施行となる。

また、柔整と同様に、物価高騰、賃上げ、医療DXへの対応として、あん摩マッサージ指圧の温罨法料、はり・きゅうの初検料、電療料を引き上げる。6年6月1日施行となる。

一方、これまで施術側が要請していたあん摩マッサージ指圧の施術部位数による料金包括化については、引き続きの検討事項とされた。

健保連の幸野庄司参与は、「これまでにない大きな制度改定」としたうえで、訪問施術料や同一日・同一建物の料金設定など新設された内容の十分な検証を求め、「必要があれば、次期改定で見直すことを前提に了承する」との考えを示した。

特に、訪問施術料の点数設定を問題視し、「施術者の動向変化を詳細に分析・検討する必要がある」と指摘。「要件となる定期的・計画的な施術は、ともすれば頻回施術にもなり得るため、一定の算定上限を設けるべき」と主張した。

料金改定の主な内容は、以下のとおり。(令和6年6月1日施行分のみ)


○あん摩マッサージ指圧
・通所 1局所につき450円(現行+100円)
・温罨法と併施した場合 1回 180円加算(同+55円)
・温罨法と電気光線器具を使用した場合 1回300円加算(同+140円)
・変形徒手矯正術 1肢1回につき470円加算(同+20円)


○はり・きゅう
・初検料 1術(はり、きゅうのいずれか)1950円(同+170円)2術(はり、きゅう併用)2230円(同+370円)
・通所 1術(はり、きゅうのいずれか)1回につき1610円(同+60円)2術(はり、きゅう併用)1770円(同+160円)
・電療料 電気針、電気温灸器、電気光線器具を使用した場合 1回100円加算(同+66円)

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