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健保ニュース 2024年5月合併号

産科医療特別給付検討委
河本専務理事 財源と合わせた議論を

日本医療機能評価機構の産科医療特別給付事業・事業設計検討委員会(委員長・柴田雅人前一般財団法人日本民間公益活動連携機構専務理事)は1日に会合を開催し、産科医療特別給付事業の目的・事業設計の考え方などについて議論した。

この日の会合では、事務局が、前回の議論を踏まえつつ、①今後の議論の進め方②基本的な考え方③給付対象④給付水準・支払方式⑤審査⑥特別給付金と損害賠償金等の調整⑦その他─について内容を整理し、委員から意見を聴取した。

このうち、③では、産科医療補償制度の除外基準を踏まえ、生後6か月未満で亡くなった場合は給付対象としないことを提案。

④では、給付金の性格について、看護・介護に係る費用の経済的負担の軽減と紛争の防止を図る性質を持つものと整理したほか、児が早期に死亡した場合(生後6か月未満で亡くなった場合を除く)においても、紛争の防止を図り、産科医療補償制度の安定的な制度運営の観点から、給付金を支払う方針を示した。

⑤では、特別給付対象者の審査基準を検討する際、専門的見地からの審議を効率的に行うため、「審査基準等に関するワーキンググループ」を設置することを提示。

⑦では、産科医療補償制度の見直し(補償対象範囲の改定)の都度に救済措置を検討する場合、産科医療補償制度の信頼性が損なわれる原因となる等の問題が生じることについて、「産科医療補償制度の見直しの検討会」で議論することとした。

健保連の河本滋史専務理事は、「特別給付事業の基本的な考え方に異論はない」と発言。
 そのうえで、産科医療補償制度の剰余金を財源とすることについて、「剰余金が減少すると、将来の妊産婦の負担が増加するため、制度の長期的な安定運営に影響が生じないよう留意する必要がある」と指摘した。

また、④の方針について、死亡した児への満額支払に理解を示す一方、「本事業はあくまで特別給付であり、財源の議論と合わせて考える必要がある」と主張した。

⑦については、産科医療補償制度の見直しの検討会で議論することに異論はないとしたうえで、「本事業はあくまでも今回限りの特例的な対応であることを踏まえ、法令や告示等の整備を行い、制度の信頼性および安定性を確保すべき」と強調。

令和8年を目途に出産育児一時金のあり方が検討されることを踏まえつつ、産科医療補償制度の根本的な議論が必要との考えを示し、スケジュールを意識した議論の実施を求めた。

検討委員会は今後、6月上旬に関係者ヒアリングを行い、同月下旬にワーキンググループでの議論を踏まえた審査基準等および財源、周知に関する議論を実施。7月上旬を目途に取りまとめを行うこととした。

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