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健保ニュース 2024年4月下旬号

デジタル改革・課題発掘対話
佐野会長代理 保険者の立場から主張
DXで国民の受診行動を変容

デジタル行財政改革会議の「課題発掘対話」は16日、デジタル行財政改革における利用者起点で見た利便性と質の高い医療の実現をテーマに議論した。

このなかで、健保連の佐野雅宏会長代理は、医療DXの推進で国民・患者の受診行動が劇的に変わるチャンスとの認識を示し、国民・患者の利便性向上、医療の質の向上、医療資源・コストの効率化を同時に達成できると主張した。

8回目の開催となるこの日の会合には、河野太郎デジタル行財政改革担当相をはじめ、▽翁百合デジタル行財政改革アドバイザリーボード構成員▽中室牧子デジタル行財政改革会議構成員▽佐野雅宏健保連会長代理▽島貫隆夫山形県・酒田市病院機構理事長▽長島公之日本医師会常任理事▽狹間研至嘉健会思温病院理事長・院長▽渡邊大記日本薬剤師会副会長─が出席。

冒頭あいさつした河野デジタル行財政改革担当相は、「超高齢化社会で患者の数が増えていく一方、それを支えていく医療従事者の確保も大きな課題となるなか、デジタルの力を積極的に活用し、患者1人ひとりに質の高い医療を効率的に提供することが重要となる」と指摘。

国民が安心して医療を受けられるよう、日々努力している医師、薬剤師、医療保険者の実情を踏まえ、今後の課題をしっかり見出していくと発言した。

続いて、翁デジタル行財政改革アドバイザリーボード構成員が、議論のベースを提供する趣旨で、電子処方箋やリフィル処方箋の現状と課題について説明。

医療機関・薬局における電子処方箋システムの導入状況(運用開始施設数/オンライン資格確認運用機関数)は9.3%、処方箋料(リフィル)の算定回数は0.05%にとどまっている状況を示した。

保険者の立場から主張を展開した佐野会長代理は、医療DXについて、「安全・安心で効果的・効率的な医療に向けた手段であり、その進展によって国民・患者の受診行動が劇的に変わるチャンス」との認識を示し、「国民・患者の利便性向上、医療の質の向上、医療資源・コストの効率化を同時に達成できる」と言及。

マイナ保険証、電子処方箋、オンライン服薬指導(長期処方・リフィル処方)、オンライン診療等、政府が進めている施策の効果を国民の「腑に落ちる状態」に早期に持っていく取り組みが重要と強調した。

各当事者の役割として、医療機関・薬局は受診時の受付体制や診察の流れを見直すこと、保険者は国民・患者に対する受診行動の変化を促すことが必要と問題提起。

患者が医療機関の受診に際して、保険証と診察券を医療機関の窓口に提示し、診察後に薬局で医薬品を受け取るなど、これまでの医療の流れをDXにより変えていくことを重要視した。

電子処方箋については、「この普及率のなかで、保険者、すなわち国民は費用を負担している」と指摘したうえで、「国としていかに効果を早く出すかが極めて重要」との考えを示した。

中室デジタル行財政改革会議構成員は、「リフィル処方箋は、勤労世代や子育て世代にとって非常にメリットのある仕組み」と捉えたうえで、「まずはリフィル処方箋の仕組みをしっかりと多くの人に知ってもらえるよう、積極的に周知、PRしていくことが必要」と訴えた。

長島公之日本医師会常任理事は、「リフィル処方箋は、医学的な有効性、安全性をしっかり担保したうえで実施しないと、効果が少なかったり、リスクが生じたりするのが実際の話だ」と述べ、「リフィル処方箋があまり普及しないのにはそういう背景もある」と主張した。

議論を受け、河野デジタル行財政改革担当相は、「リフィル処方と言われてもわからないので、詰め替え処方と言わないといけない」と発言。

そのうえで、「子育て世代、勤労世代が通院しづらい現状のなか、オンライン診療やオンライン服薬指導、詰め替え処方は非常に有効だ」と評価し、「様々な制約があるなかで、症状を安定させるための医療、服薬は重要になってくる」と強調した。

規制やルールの見直し、周知・広報の不足などの課題を区別しながら1つひとつ対応していく意向を示した。

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