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健保ニュース 2024年4月下旬号

衆院特別委が子子法案に附帯決議
一律の支援金率 国が示す取り扱い堅持

地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会(谷公一委員長)は18日、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」の採決と合わせて、自民党、立憲民主党など4会派共同提案の附帯決議を採択した。

附帯決議は、改正法の施行に当たり、運用上留意すべき事項として19項目を列挙。
 4番目の項目には、子ども・子育て支援金は、医療保険料とは異なるものと医療保険者に周知するよう明記した。

医療保険者は、医療給付に充てる保険料と合わせて支援金を徴収するが、健康保険法上は一般保険料率と区分し、子ども・子育て支援金率を規定する。

支援金率は、政令で定める率の範囲内において保険者が定めるとする一方で、支援金が被保険者の標準報酬総額に応じた額となることを踏まえ、実務上は国が一律の率を示す運用が示されている。

同項目は、医療保険者に対し、国が実務上一律の支援金率を示す取り扱いを堅持することを明確にした。

また、5番目の項目には、支援金制度の拠出とその充当対象事業の給付の状況を含め、不断に効果検証と適切な見直しを行うとし、政策および財源のあり方についても、総合的な検討を行うことを明記した。(衆院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員が18日に採択した附帯決議の全文は次のとおり)

一、結婚や出産への希望を持ちながら、経済的理由等により将来展望を描けずにいる若者もいることを踏まえ、若者の可処分所得の持続的な増加を図ることに一層努めること。

二、「加速化プラン」において、若年人口が急激に減少する二〇三〇年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスとしていることを踏まえ、「加速化プラン」の後継の検討を含め、こども未来戦略に基づくこども・子育て政策の抜本的強化に速やかに着手するとともに、単に制度や施策を策定するのではなく、社会全体で、こども・若者や子育て世帯を応援する機運を高める取組を車の両輪として進めること。

三、子ども・子育て支援金制度の導入に当たっては、支援金による拠出が、歳出改革等による社会保険負担軽減効果の範囲内に収まるように取り組むこと。また、全世代型社会保障制度改革等については、医療・介護サービスへのアクセスや必要な保障が欠けることのないよう、丁寧に検討を進めること。

四、子ども・子育て支援金は、医療保険料や介護保険料とは区分して子ども・子育て支援金率が設定されることから、医療保険料等とは異なるものであることを健康保険者等に周知すること。子ども・子育て支援納付金の納付義務を負う健康保険者等のうち、被用者保険等保険者については、同納付金の負担が被保険者の標準報酬総額に応じた額となることから、子ども・子育て支援金率の基礎として国が実務上一律の支援金率を示す取扱いを堅持すること。

五、少子化対策は、中長期的な対応が必要であり、本法による改正後の各法律の施行状況について、子ども・子育て支援金制度の拠出とその充当対象事業の給付の状況を含め、こども・若者や子育て世帯の参画の下、不断に効果検証と適切な見直しを行うこと。あわせて、こども・子育て予算倍増に向けて、社会全体でどのように支えるかという観点を含め、政策及び財源の在り方について、あらゆる選択肢を視野に入れて総合的な検討を行うこと。

六、子ども・子育て支援納付金の使途、使用した額、支援金を徴収するに当たっての課題などに関する報告を国民に分かりやすく示すとともに、子ども・子育て支援金率、使途等を検討する際は、複数の拠出する立場の者が参画した上で検討し、その結果に応じて必要な対応を講じること。

七、児童手当については、本法により、児童手当の拡充に当たって同手当を次代を担う全てのこどもの育ちを支える基礎的な経済的支援として位置付けた趣旨を踏まえ、本法による効果も検証しつつ、必要に応じて、その在り方について、検討すること。

八、妊婦等包括相談支援事業の創設に当たっては、オンラインによる相談等の充実や体制の強化に努めること。あわせて、「伴走型相談支援」と呼ぶにふさわしい、産前産後を通じて専門的知見を有する伴走者が一貫してサポートを提供できる仕組みについて相談支援事業の効果の検証をしながら検討を進めること。

九、こども誰でも通園制度の創設に当たっては、現場や利用者の意見を十分に踏まえた実施に努めるとともに、通常保育での児童の受け入れとの違いも踏まえ、通常保育も含めた幼児教育・保育の質が低下しないよう、万全を期すること。

十、こども誰でも通園制度については、こどもの所属園や利用日数の在り方を含め、保育者との愛着形成ができるよう、本法に基づき、全てのこどもの権利として保育を保障する仕組みの検討を進めること。特に、医療的ケア児、障がいがあるこどもなど専門的支援が必要なこどもにとって使いやすいものとなるよう、安全な受入施設や体制整備に取り組むこと。

十一、児童扶養手当については、経済社会の動向を踏まえ、本法による拡充の検証を行い、必要に応じて在り方を検討すること。

十二、ヤングケアラーの実態や支援のニーズが表面化しづらいとの指摘があることを踏まえ、実態把握や早期発見、当事者に寄り添った支援と正しい理解の啓発に努めること。

十三、男女が共に育児を担うことの重要性を始め、「共働き・共育て」の推進に向けて、企業も含めた社会全体で機運を醸成していく取組を推進すること。

十四、出生後休業支援給付及び育児時短就業給付について、その効果や現場に与える影響などを検証した上で、引き続き、労働政策審議会を始めとした関係審議会において審議を行うこと。

十五、出生後休業支援給付制度において、男性の育児参加をより促す観点も踏まえ、制度の施行状況を確認すること。

十六、育児時短就業給付制度により、利用する労働者のキャリア形成の阻害や給付の公平性の観点から労働者間の分断などにつながらないよう、趣旨などを丁寧に周知しながら取組を進めること。

十七、子ども・子育て支援特別会計の創設後も、雇用保険財源の活用の在り方及び保険料率を始め、従来労働政策審議会において議論を行ってきた事項については、引き続き、同審議会において審議を行うこと。

十八、幼児教育・保育の質のより一層の向上を図り、全てのこどもが希望する施設を利用できるよう、今般の加速化プランに沿って、職員配置基準の見直しや受け皿の整備を進めること。また、処遇改善や働きやすい職場環境の整備に努め、保育人材の確保に万全を期すること。

十九、貧困の状況にあるこども・若者や子育て当事者が、経済的な面だけではなく、心身の健康、進学機会や学習意欲も含め、権利利益の侵害や社会的孤立などの困難に陥らず、また、貧困の連鎖が断ち切られるよう、こどもの貧困を解消する対策の積極的な推進に取り組むとともに、「加速化プラン」全体の施策の効果を検証していく中で、必要に応じ在り方を検討すること。

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