HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2024年4月中旬号

健保ニュース

健保ニュース 2024年4月中旬号

新地域医療構想検討会が初会合
2040年見据えた構想策定に着手

厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」は3月29日、初会合を開催し、高齢者人口がピークを迎え減少に転じる2040年頃を見据えた「かかりつけ医機能」等を含む新たな地域医療構想の策定に向け、今後の進め方を確認した。座長には、遠藤久夫氏(学習院大学経済学部教授)が就いた。

地域医療構想は、中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの質・量の変化を見据え、医療機関の機能分化・連携を推進する。

都道府県は、各構想区域における2025年の医療需要と病床数の必要量について、医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)ごとに推計。医療機関からの病床機能報告や地域医療構想調整会議を通じ、構想の実現を図っている。

他方、2026年度以降の地域医療構想については、昨年12月に政府が閣議決定した「改革工程」で、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大や現役世代の減少に伴う医療需要の変化に対応できるよう検討することとされた。

この日の会合で厚労省は、現状と課題を踏まえ、①2040年頃を見据えた医療提供体制のモデル②病床の機能分化・連携のさらなる推進③地域における入院・外来・在宅等を含めた医療提供体制の議論─を主な検討事項として提示。

①は、地域の類型(都市部、過疎地等)ごとの医療需要の変化に対応する医療提供体制のモデル(医療DX、遠隔医療等の取り組みの反映)を検討する。

今後は、同検討会を月1~2回程度開催し、医療、介護関係団体、保険者、都道府県等から▽2040年頃を見据えた医療提供体制のイメージ▽現行の評価・課題▽新たな地域医療構想への期待─などを項目としたヒアリングを実施。医療部会に報告しつつ、今秋を目途に「中間まとめ」、年末に「最終まとめ」を策定する。

厚労省は、最終まとめには制度改正を見据えた議論を反映し、運用上の基準などは7年度に発出する新たな地域医療構想に関するガイドラインに盛り込む考えを示した。

健保連の河本滋史専務理事は、①の提案に賛意を示したうえで、病床機能と外来、在宅、介護の機能分化や連携について地域住民に分かりやすく全体像を見せる必要があると指摘した。

7年度からかかりつけ医機能報告制度が開始されることを踏まえ、かかりつけ医機能を担う医療機関の継続的な確保が重要になると強調。診療所の医師が個人単位で連携しても機能確保が難しい地域もあることから、有床診療所を含め、一定数の医師を抱える診療所の配置について検討の余地があるとの考えを示した。

また、在宅医療は、緊急時の往診やターミナルケアなども含め、医療の必要度が異なることを想定した検討が必要と指摘。「地域医療構想が策定された後も、PDCAを回し計画的に進捗を管理していくことが不可欠」と主張した。

尾形裕也構成員 (九州大学名誉教授)は、①について、「提供体制モデルの設計は、必要量の推計と現状との比較において何が過不足かを明確にすることが先」と指摘した。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年