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健保ニュース 2024年3月中旬号

病床確保料や治療薬自己負担など
新型コロナ財政支援を今年度末で終了
4月から通常の医療提供体制

厚生労働省は5日、医療機関への病床確保料や診療報酬上の特例措置、患者への新型コロナウイルス感染症治療薬の自己負担などに対する特例的な財政支援を3月末で終了し、4月1日から確保病床によらない通常の医療提供体制に移行する方針を明らかにした。

また、無料で実施していた新型コロナワクチンの特例臨時接種も予定どおり3月末で終了。ゲノムサーベイランス等による新型コロナ変異株の発生動向の監視は継続することとした。

同日付で、「新型コロナウイルス感染症の令和6年4月以降の医療提供体制および公費支援等について」と題する事務連絡をまとめ、都道府県等に発出した。

新型コロナについては、昨年5月8日から感染症法上の位置づけが5類感染症に変更され、医療提供体制は入院措置を原則とした行政の関与が前提の限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行していくこととされた。

厚労省は、新型コロナの感染症法上の位置づけ変更後における、医療提供体制の基本的な考え方や外来・入院医療体制、入院調整、各種公費支援等の見直し内容について、昨年9月15日に「新型コロナウイルス感染症に関する10月以降の見直し等について」を公表。

昨年10月以降、重点的・集中的な支援により、冬の感染拡大に対応しつつ、通常の医療提供体制へ段階的に移行するため、確保病床の重点化(重症・中等症Ⅱ、感染拡大の状況に応じた対応)や診療報酬上の特例措置、新型コロナ治療薬の自己負担に対する公費支援を一部見直したうえで継続した。

これに対し、4月からは、▽外来対応の拡大▽確保病床によらない形での入院患者の受入▽医療機関間での入院先決定─など、病床確保料を廃止し、新型コロナ発生前の通常の医療提供体制で対応することとした。

診療報酬上の特例措置は、6年6月に施行する6年度診療報酬改定で、新型コロナに限らない感染症を対象とした恒常的な対策へと見直す。

将来の新興感染症への備えとして、現行の「外来感染対策向上加算」、「感染対策向上加算」の施設基準を強化。新興感染症に備えた第8次医療計画に合わせ、発熱外来や病床確保にかかる都道府県との協定締結を要件化する。

合わせて、感染症患者への対応として、新型コロナ特例は終了し、恒常的な対策へ見直す。外来は、「外来感染対策向上加算」を算定する医療機関を対象に、発熱患者等への診療に1回20点を加算。入院は、特に感染対策が必要な感染症患者の入院管理を評価するため、▽入院加算の新設(1日100~200点)▽個室加算の拡充(1日300点)▽リハビリに対する加算の新設(1回50点)─を措置する。

さらに、外来診療における標準的な感染防止対策を日常的に講じることが必要との観点から、初診料や再診料、外来診療料の現行点数も引き上げる。

他方、経口薬のラゲブリオ、パキロビッド、ゾコーバ、点滴薬のベクルリーに対し、昨年10月以降、「1割負担は3000円」、「2割負担は6000円」、「3割負担は9000円」の上限を設けていた新型コロナ治療薬の自己負担分に対する公費支援を終了し、4月以降、医療保険上の年齢や所得に応じた通常の自己負担に戻す。

最大で1万円を公費で補助してきた入院医療費も終了。4月以降は、他の疾病と同様、高額療養費制度が適用されることで、所得に応じ一定額以上の自己負担が生じない取り扱いとする。

このほか、高齢者施設等に対する▽新型コロナ感染者への対応にかかる業務手当の補助▽施設内療養の補助▽退所前連携加算の算定─の各種支援を終了し、今後の新興感染症の発生に備えた恒常的な取り組みとして、6年度介護報酬改定で加算の創設等を実施する。

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