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健保ニュース 2024年3月中旬号

健保連がシンポジウムを開催
新提言めざし知見を収集
2040年までの社会変化に対応

健保連は4日、東京都千代田区の会場とオンライン配信のハイブリッド方式で、「変化する社会と医療保険~健保組合の新たな挑戦~」と題したシンポジウムを開催。来場者150人、オンライン参加者350人の計500人が参加した。第1部の基調講演は、令和5年5月に報告書を発表した将来構想検討委員会の座長講演、報告書の概要説明に続いて有識者が講演。第2部のパネルディスカッションは、有識者に健保組合役員らを加え、2040年までの社会変化を踏まえた医療保険へ意見を交わした。シンポジウムで得られた知見は、健保連が秋頃に策定する新たな提言の補強に生かす。

シンポジウムでは、佐野雅宏副会長が冒頭あいさつに立ち、▽人口構造の変化▽医療・介護ニーズの変化▽働き方の変化▽DXの進展─などのわが国における大きな社会変化に伴い、健保組合の役割も変化していくとの認識を示したうえで、タイトルに込めた思いに言及。健保組合が社会からの負託に応えるために、新たな課題にチャレンジしていくことを願ったと説明した。

近年の医療費の伸び、厳しさを増す健保組合の財政状況、一段と深刻化している少子化等に鑑み、「さらなる改革に向けた緊急度が高まりつつある」と危機感を露わにし、健保連の将来構想検討委員会が議論の前提とした2025年から2040年までの社会変化の想定よりも、早い段階から取り組みを進める必要があると強調した。

全世代型社会保障制度を実現するためのさらなる改革法案が7年の通常国会に提出されることを見込み、今年の秋頃までに健保組合・健保連の新たな提言の取りまとめを計画していると表明。今回のシンポジウムもこうした活動の一環として新提言の検討に役立てる意向を示した。

健保連は、令和4年に健康保険法制定100年の節目を迎えるにあたり、3~4年度に「医療保険制度の将来構想の検討のための調査研究」を実施。新たに立ち上げた将来構想検討委員会で、高齢者人口がピークを迎えると想定されている2040年に向け、社会情勢の変化を踏まえたこれからの医療保険制度、健保組合のあり方等を整理した。

シンポジウムは、この報告書を根底に置き、基調講演とパネルディスカッションの2部で構成。第1部ではまず、将来構想検討委員会で座長を務めた森田朗氏(東京大学名誉教授)が医療保険制度を取り巻く社会環境の変化や制度改革の方向性について講演。続いて、健保連総合企画室の松本展哉室長が将来構想検討委員会報告書の概要を説明した。

また、第2部でパネリストを務める伊藤由希子氏(津田塾大学総合政策学部教授)、佐保昌一氏(日本労働組合総連合会総合政策推進局総合局長)、高久玲音氏(一橋大学大学院経済学研究科准教授)が「医療ニーズの変化、医療費の増加への対応」、「多様な働き方の包摂と制度の持続性の確保」、「健保組合に求められる役割」をテーマにプレゼンテーションを行った。

第2部では、日本経済新聞社編集委員の大林尚氏をモデレーターに迎え、プレゼンテーションを行った3氏に、健保連の調査研究を所管する医療保障総合政策調査会の委員長を務め、検討委員会に委員として参加した宮前暢明氏(北海道農業団体健保組合専務理事)と健保連の秋山実理事がパネルディスカッションを行った。テーマには2040年に向けて見込まれる社会変化のなかから、少子高齢化、増加する医療費の負担、医療DXなどを取り上げ、パネリストは活発に意見を発表した。

また、一般の参加者からの質問にも答えた。

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