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健保ニュース 2024年3月上旬号

マイナ保険証の利用促進へ議論
医療保険部会 佐野副会長が健保の声を要望
医療機関働きかけ強化など3点

健保連の佐野雅宏副会長は、2月29日に開催された社会保障審議会医療保険部会(田辺国昭部会長)で、マイナ保険証の利用促進に関する健保組合の声を強く訴えた。厚生労働省のマイナ保険証の利用等に関する現状や医療機関の取組状況、都道府県・保険制度別の利用率等の説明に対し、①医療機関における働きかけの強化②マイナンバーカードのメリットの拡大③加入者、事業主への対応─の3点を要望。患者がマイナ保険証を利用可能な体制の整備や利用に伴うメリットの整理、事業所単位の利用率の提供など、厚労省に対し、現場の声を踏まえつつ、利用促進に取り組むよう求めた。

この日の社会保障審議会医療保険部会は、マイナ保険証の利用促進をテーマに議論した。
 厚生労働省は、医療DXの基盤となるマイナ保険証により、▽患者本人の健康・医療データにもとづくより良い医療の実現▽レセプト返戻の減少▽高額療養費の自己負担限度額を超える分の支払を免除▽確実な本人確認によりなりすましを防止─する等のメリットを示した。

現状として、▽マイナンバーカードの保有者は令和6年1月末時点で全人口の73.1%となる9168万人▽マイナ保険証の登録者は6年1月28日時点でカード保有者の77.9%となる7143万人▽マイナンバーカードの携行者は5年11~12月で全人口の4割、カード保有者の5割─と説明。

6年2月調査で、約4人に1人がマイナ保険証の利用経験がある一方、マイナ保険証の利用実績は6年1月で4.6%にとどまっている状況を示した。

2月の診療報酬のオンライン請求時に実施した約17万施設を対象としたアンケート調査によると、約4割の施設が窓口で「マイナンバーカードをお持ちですか」などの声かけを行っていると回答。

一方、約2割の施設ではマイナ保険証の利用促進に関する取り組みを実施していないことが明らかになった。

都道府県別の医療機関・薬局におけるマイナ保険証の利用率(令和6年1月)は、鹿児島県の8.44%が最も高く、鳥取県(7.19%)、福井県(6.84%)、宮崎県(6.65%)、石川県(6.14%)の順。最も低いのは沖縄県の2.31%で、愛媛県(2.65%)、青森県(2.88%)、和歌山県(3.00%)、徳島県(3.15%)と続く。

医療機関等における受付窓口での声かけを「保険証、見せてください」から「マイナンバーカードをお持ちですか」などに切り換えた施設の割合をみると、鹿児島県や福井県で高く、愛媛県や青森県で低い状況で、マイナ保険証の利用率と声かけに一定の相関が見られた。

厚労省は、都道府県に対して、マイナ保険証の利用促進に関する説明会を実施するとともに、保険者協議会等の場を活用して、保険者・医療関係者等の積極的な取り組みを促すとした。

他方、昨年11月の保険制度別のマイナ保険証利用率をみると、健保組合・全国健康保険協会は、加入者数7108人の社会保険支払基金健保組合が16.17%と最も高く、次いで、▽富士車輛健保組合(利用率10.26%、加入者数376人)▽鹿児島県信用金庫健保組合(同10.20%、同2287人)▽南日本銀行健保組合(同10.20%、同1586人)▽佐賀銀行健保組合(同10.17%、同3433人)─の順だった。

厚労省は、経済団体に対し、事業主を通じたマイナ保険証の利用促進として、事業主から従業員にマイナンバーカードの取得とマイナ保険証の利用を呼びかけるとともに、迅速かつ正確なデータ登録を要請。

本年4月の新規採用者について、3月中(内定段階)にマイナンバーを収集し、4月(入社後)の保険証交付時にマイナ保険証の利用勧奨を実施するほか、転職等による新規資格取得時に、マイナンバーまたは住民票住所を記載した資格取得届を5日以内に保険者に提出するよう改めて徹底する。

特に、マイナンバー取扱業務を外部委託している場合でも5日以内に提出するよう、早期に委託内容の見直しを行う対応を求めた。

健保連の佐野雅宏副会長は、「マイナ保険証の利用促進へ保険者としてできる限り協力していく」と言及したうえで、健保連で事業主、国民に向けた動画やリーフレットによる周知、国とのCM動画の作成などを進めている現状を説明した。

そのうえで、マイナ保険証の利用促進に関し、健保組合から相当多くの声が挙がっているとして、①医療機関における働きかけの強化②マイナンバーカードのメリットの拡大③加入者、事業主への対応─の3点を厚労省に強く要望。

①は、医療機関の受付窓口で患者がオンライン資格確認を行った後に診察券を提示するという動線変更に加え、マイナンバーカードを持ってきていない方に、「次回はマイナンバーカードを持ってきてください」という声かけなどにより、マイナ保険証を利用できる体制が整うような指導を求めた。

②は、「取得・申請手続きが不要となる限度額適用認定証の活用機会は限られ、多くの加入者にメリットが実感しにくい」と指摘し、マイナ保険証利用の多岐にわたるメリットを整理して明示するよう訴えたほか、患者の利便性向上に有効な取り組みである診察券との一体化を積極的に進めるよう要請。

③は、健保組合の事業所間で連携・協力が進むよう、事業所単位のマイナ保険証利用率を提供するよう要望したほか、「資格情報のお知らせ」について、電子的交付の具体化や自身のマイナポータルで確認できるような対応を求めた。

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