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健保ニュース 2024年2月中旬号

協会けんぽ・6年度都道府県保険料率
支部間格差は最大で1.07ポイント
24支部が料率引き上げ

全国健康保険協会運営委員会(委員長・田中滋埼玉県立大学理事長)は1月29日、協会けんぽの令和6年度都道府県単位保険料率を了承した。前年度に比べ、引き下げが22支部だった一方、引き上げは24支部で、13支部の引き上げにとどまった5年度から一転し、半数以上の支部が保険料率を引き上げた。都道府県単位保険料率には、年齢・所得の調整やインセンティブ制度による加・減算等を反映しており、料率が最高の佐賀支部と最低の新潟支部の支部間格差は1.07ポイントで、前年度と比較して0.11ポイント減少した。

この日の全国健康保険協会運営委員会が了承した令和6年度における都道府県支部別の健康保険料率(「都道府県単位保険料率」)は、前年度と比べ、▽引き上げが24支部(5年度は13支部)▽引き下げが22支部(同33支部)▽変更なしが1支部(同1支部)─で、神奈川支部を除く46支部で料率の変動があった。

都道府県単位保険料率が平均保険料率の10.0%を超えたのは20支部で、前年度と同様。なお、平均保険料率と同率の支部は1支部(和歌山支部)だった。

保険料率の高い支部は、佐賀(10.42%)、福岡(10.35%)、大阪(10.34%)、香川(10.33%)、熊本(10.30%)の順。一方、保険料率の低い支部は、新潟(9.35%)、青森(9.49%)、沖縄(9.52%)、長野(9.55%)、福島(9.59%)の順となる。

最高料率の佐賀支部と最低料率の新潟支部の支部間格差は1.07ポイントで、前年度と比較して0.11ポイント減となっており、差は縮小した。今回の6年度都道府県単位保険料率の了承を受け、佐賀支部は平成23年度以降14年連続で最高料率の支部となる一方、新潟支部は27年度以降、10年連続で最低料率の支部となった。

前年度からの引き上げ幅が大きい支部は、石川(0.28ポイント)、山梨(0.27ポイント)、山口(0.24ポイント)の順。一方、引き下げ幅の大きい支部は、沖縄(▲0.37ポイント)、島根(▲0.34ポイント)、青森(▲0.30ポイント)などとなっている。

令和6年度の医療分の収支見込みでは、収入が11兆4127億円で、内訳は保険料収入10兆2523億円、国庫補助等1兆1432億円。支出が11兆1044億円で、内訳は保険給付費7兆718億円、前期高齢者納付金1兆2899億円、後期高齢者支援金2兆3462億円などとなっている。経常収支は3083億円の黒字を見込んでおり、単年度の収支が均衡する保険料率は9.70%。準備金残高は5兆4422億円に拡大する見込み。

他方、5年12月20日の運営委員会では、医療費の伸びが賃金の伸びを上回る財政の赤字構造が解消されていないこと等を踏まえ、平均保険料率は10.0%で意見を集約。全国平均保険料率10.0%を維持する前提で6年度の収支を見込んだ。

都道府県単位保険料率は都道府県支部ごとの医療給付費にかかる所要保険料率に年齢・所得調整を行ったうえで、現金給付費や前期高齢者納付金等、保健事業費等などにかかる保険料率(4.60%)を全支部一律で加算し、インセンティブ制度による減算を反映する。

インセンティブ制度は、特定健診・保健指導の実施率や後発医薬品の使用割合などをもとに都道府県支部ごとの保健事業の評価を都道府県単位保険料率に反映する。制度導入に当たり講じた激変緩和措置が4年度で終了し、評価が高い支部の保険料率を軽減する原資として全支部が負担するインセンティブ制度の保険料率は、5年度から健康保険法施行規則の規定どおりとなっている。

6年度における同制度の影響は、保険料を負担する支部が0.010ポイント増、最も減算の大きい支部(佐賀支部)が0.187ポイント減となる。

6年度の都道府県単位保険料率の変更に対する各支部長の意見をみると、▽「妥当」、「容認」が24支部(前年度31支部)▽「やむを得ない」が23支部(同15支部)▽「反対」0支部(同1支部)─となっている。

このうち、石川支部長からは、「能登半島地震の影響で、今年度の実績に多大な影響が生じることが想定される」として、加入者にとって不利とならないようインセンティブの評価に配慮を求める意見があったほか、佐賀支部長からは、「保険料率を引き下げる観点から、国庫補助率を16.4%から上限の20%に引き上げるよう協会けんぽとして国に強く要望すべき」などの意見があった。

このほか、多くの委員から、支部間で都道府県単位保険料率に大きな差が生じていることを指摘する声が上がった。

また、この日の運営委員会では、6年度の船員保険の保険料率についても承認された。疾病保険料率は前年度の9.80%から9.90%へ引き上げ、介護保険料率は前年度比0.10%減の1.59%とした。

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