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健保ニュース 2024年2月中旬号

社保審が全社改革工程など議論
抜本改革求める意見多数

社会保障審議会(遠藤久夫会長)は1月26日、会合を開き、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」や令和6年度厚生労働省予算案などを厚労省から聴取し、意見交換した。

増田寛也会長代理(日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)は、「負担増が生じる財政的な課題をこれまで先送りにしてきた」と問題提起し、「改革工程で示したスケジュール感を遵守し、今まで以上に確実に進めて行かなくてはならない」と強調。

先送りされた介護保険の利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直しに加え、「現役並み所得者」の医療・介護の3割負担案についても、「厳しい状況のなかで決めていかざるを得ない」との見解を示した。

野口晴子委員(早稲田大学政治経済学術院教授)は、「昨年のアルツハイマー病治療薬の保険収載をはじめ、今後もがん免疫療法剤や遺伝子治療などの高額新薬の開発が見込まれる」と見通し、「さらに日本未承認の新薬の早期承認が促進され、すべて保険収載していくことを想定すると、急増する医療費が今後さらに膨らんでいく」と危機感を露わにした。

生産年齢人口が減少するなかでの財源確保と持続可能な医療・介護保険システムに向けた検討は、非常に大きなトレードオフの関係にあると指摘。

そのうえで、中央社会保険医療協議会の費用対効果評価専門部会などが担う現行の薬価統制システムには限界があるとの認識を示し、高額薬剤の薬事承認のあり方や評価方法などの抜本的な改革が必要と訴えた。

翁百合委員(日本総合研究所理事長)は、野口委員に同意を示すとともに、医療・介護制度改革では「目的を見定め、保険給付の見直しを進めるべき」と主張した。疾患リスク者のカバーは国民皆保険の役割と述べる一方、保険給付の対象範囲の見直しについて「非常に重要」と指摘。OTC医薬品の取り扱いも含めた、国民的議論となる取り組みを要望した。

他方、国民・患者が安心して医療・介護を受けるためには、医療機関等の経営状況や医療・介護の質に関する情報開示・情報提供が求められると言及。重複投薬・頻回受診など非効率性の是正を訴えるとともに、プライマリケア機能を組み合わせた医療提供体制を地域医療で構築することにより、医療の機能分化・連携が進み、国民・患者に安心を提供できるとの考えを示した。

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